昨年はベスト16で涙を飲んだ。強豪ひしめく神奈川県大会では決して簡単にはつかめない成績だが、目指していたのは頂点。「悔しかった」。もっと強くなるために、どうしたら良いか。チームとして、個人として、背を向けたくなる結果にまっすぐに向き合った。
取り組んだのは下半身の強化。足腰を鍛え、走りこむことでバッティングの土台が整い、スイングスピード向上につながった。ほとんどの選手が金属バットを使う中、今年から、あえて木製バットを握る。打撃の要である4番。長打が欲しくなるのではと思いきや、「自分の成績よりも、チームの勝利につながるなら犠打のほうがずっと価値がある」と言い切る。独特のしなりと感触。幼い頃からバットを振ってきた経験は嘘をつかない。的確に芯でとらえ、遠くに飛ばすよりも良い所に落とすコントロール。木目に残る握り跡は、努力の勲章だ。
剛速球を投げ、本塁打を量産するようなスター選手はいなくとも、堅守と好打で競り勝つのが藤沢翔陵の伝統。バットの規定が変更になり長打が減る中、塁に出て足をからめた戦術も、鍛えた下半身がものをいう。
「いかに1点を取るか」。全員が常に最善を尽くすチームの結束力はどこにも負けない。直前の合宿で最後の仕上げ。「活気もあってプレーがどんどん良くなっている」。去年の自分たちがどこまで成長できたのか。確かめるのは、同じ夏の大舞台。プレイボールが「楽しみ」。緊張にはやる鼓動が、今は心地良い。
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