多少点を取られても、その分、取り返す――。
超がつく攻撃特化型がチームの伝統。2年前の夏には公立勢では唯一、8強まで駒を進めた。その伝統が、揺らいだ。
秋は初戦、春は強豪と対戦した地区予選で姿を消した。練習試合でも勝ち星が遠い。凡打や併殺打、最大の武器だったはずの打力が振るわない。春から導入された低反発の新基準バットも追い打ちをかけた。
2年前、チームを率いた主将に憧れた。あの背中に追いつきたくて努力を惜しまず打ち込んできた。自分たちにできることは何か。考えた。
58人と県内公立校としては屈指の部員数を抱えながら、グラウンドは十分な広さがなく、使用頻度も限られる。必然、工夫が必要になる。守備よりも攻撃に比重を置くのはそんな理由からだ。
原点に立ち返った。7対3。攻撃練習の割合が7だ。その内訳を丁寧に見直した。同じ打撃練習でもパターンを増やし、前方からのトスを取り入れるなどより実践的な練習を増やし、低反発バットの特性を踏まえた低空の角度での打ち出しを磨いた。
希望の光が見えたのはほどなくしてだ。春季大会後の練習試合で、20点近い得点で、大勝をあげた。失点もあったが、打って、打ちつないで勝つ。これこそが藤沢清流の勝ち筋だった。
今大会、トーナメント序盤には幾度となく県大会を制してきた東海大相模がいる。だが、気後れはない。目標は夏8強。あの景色を絶対にもう一度見るんだ―。決意の光を瞳にともした。
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