旧東海道藤沢宿エリアに築79年の古民家を活用したカフェが6月23日(日)にプレオープンする。これまでに多彩なアートを発信する拠点として親しまれ、今春18年の歴史に幕を下ろした「蔵まえギャラリー」の代表社員の女性4人が一念発起し、創立日に合わせて準備を進めてきた。その名も「蔵まえ34(サーティーフォー)」。女性らは本格営業の9月に向け、「健康的で美味しい、心と体を満たす食事を提供していけたら」と意気込んでいる。
昔ながらの引き戸を開けると、真新しい畳の香りが立ち込める。重厚なヒノキの大黒柱、レトロ感が漂う結霜(けっそう)ガラス。昭和の佇まいが残る木造平屋建ての古民家が、4人の新たな出発点だ。
同ギャラリーは代表社員でアーティストの佐野晴美さん(68)が2006年に開業。昭和初期の商家を活用した建物では障害やプロアマの垣根を超えて出品する「湘南Vividアート展」など年間を通じてさまざまな催しが開かれてきた。
だが、営利でなく「作家とアートの支援」が目的だったため、赤字が常態化。公募展を取り入れ改善にも取り組んだが、賃料の引き上げを契機に撤退を余儀なくされた。
一時は先行きが見通せなくなったが、幸運が舞い降りた。再出発の場を探していたところ、ギャラリーの目と鼻の先に空き家になった古民家が見つかった。登記簿を辿り、活動の場として貸してもらえないかと所有者に打診すると、「地域のために役立ててほしい」と快諾。第2のスタートを切ることにした。
メニュー日替わりで
カフェは運営会社の支店の位置づけで、開業に当たっては市の「街なみ継承地区魅力向上店舗集積事業補助金」を活用。改装費と賃料の一部の助成を2年間受けられることになった。
コンセプトは健康や栄養に配慮した家庭料理。当面はコーヒーや手作りのお菓子を提供するカフェ形式の運営だが、9月の本格営業後は週4日、日替わりでランチメニューを提供する。
建築家で主婦歴50年の佐藤里紗さん(75)は
「野菜をたっぷり使って『おばあちゃんの家』に来たような食事を出したい」と笑顔を見せる。元教諭の田口淳子さん(71)はカレー、織物作家の杉浦道子さん(74)はスープをメインに献立を考案中だ。今後は週末を中心に季節ごとの行事食や味噌作りなどの料理教室を通して食育にも取り組むという。
地番にちなんだ店名の「34」にはもう一つ意味を込めた。佐野さんは「本業、蔵まえギャラリーを経て3度目の挑戦を私たち4人で。次世代にも引き継いでいけるよう、事業を軌道に乗せたい」と未来を見据えた。
◇
藤沢34。営業は月、火、金、土曜の午前10時から午後4時(プレオープン日は午前11時から午後3時)。問い合わせは同店【携帯電話】070・6647・0034。
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