片瀬東浜海水浴場を開設する江の島海水浴場営業組合の組合長を務める 岩田 和美さん 片瀬海岸在住 61歳
人情あふれる海に
○…今年も夏がやって来る。新型コロナ禍による制限がない、2年目の夏だ。海水浴場の開設を目前に控え、「2カ月間お天気に恵まれて、お客さんで賑わえば」。湾状のビーチに沿って海の家が建ち並ぶ片瀬東浜海水浴場に視線を向け、笑顔で期待感をにじませた。
○…「次は和美ちゃんだからね」。昨年末、18年間組合を率いてきた前組合長から会合で耳打ちされた一言が忘れられない。病から復調後、元気な姿を見せていたが、死期を悟っていたのかもしれない。笑顔で別れた翌年、訃報が届いた。かつて騒音や風紀の乱れから営業の存続が危ぶまれた時代も矢面に立って問題解決に当たり、現在の安心安全なビーチの礎を築いた偉大な先人だった。副組合長として長年その姿を見て、バトンを受け継ぐ決意をした。
○…ピンクがシンボルカラーの海の家かもめ&ボサノバの店主。経営者としては3代目で、海の家は幼少の頃から当たり前のようにあったが、「昔は海、嫌いだったんです」とぽつり。営業があるため、夏の遠出や旅行はお預けばかり。その過去から海好きに転じたのは、やはり利用客との触れ合いがあって。「家族連れの人が一緒に岩屋に連れて行ってくれたり、昔働いていた人が顔を出してくれたり」。思い出が詰まった店は今やかけがえのない場所だ。
○…片瀬小、片瀬中を卒業した生粋の地元民。現在は民生委員や同小学校運営協議会会長など、地域活動にも精力的に取り組む。「人のために何かしたい気持ちはある。おせっかいなのかも」と笑う。その信条は海水浴場の顔役としても同様だ。今年も人情あふれる、優しい海へ。「皆さんが笑顔になって、また来たいと思ってもらえるように」。そのために力を尽くすつもりだ。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|