近年続く夏場の猛暑による児童・生徒の暑さ対策や災害発生時に避難者の利用に配慮するため、藤沢市は市立小中学校の体育館に空調設備を整備する。設置対象は本町・大道・大庭小学校、秋葉台・湘南台・滝の沢中学校の計6校。債務負担行為設定額(小中学校施設環境整備事業費)約3億円を補正予算案に盛り込み、9月に行われる市議会で議決されれば来年、本格的な夏がくる前に稼働開始となる。
27日に開かれた定例記者会見で市が発表した。鈴木恒夫市長は「業者の手配や財政的な問題もあるが、順次計画的に進めていき、早い時期に全校につけたい」とした。
学校施設課によると、人体と外気との熱のやりとりに着目した指数「暑さ指数」に応じ、今夏は各学校の判断により、熱中症のリスクを回避するため体育の授業を行わないケースもあるという。
また、こうした教育現場での課題解消だけでなく、体育館は災害発生時に多くの地域住民が避難生活を送る場所として利用されることから、市は避難生活に伴う身体的・精神的なダメージが原因で亡くなる、いわゆる「災害関連死」などへの対策も図りたい考え。
現時点で市立学校に空調設備が設置されている体育館は白浜養護学校1校のみで、小中学校54校には取り付いていない。先行設置する対象校について同課は「再整備をしている、または再整備を計画している4校を除き、地域に開放している回数が多く、比較的小規模で設置しやすい体育館を選定した」と話す。
リースか、整備工事かは学校ごとに異なるが、市は今年12月に施工業者と契約、施工、来年6月に稼働させる方針だ。
市教委に署名千通
「体育館の中は異常な暑さ。サーキュレーターはあるが、何の足しにもならない。子どもには体を冷やすものや水分を多めに持たせることしかできず、熱中症で倒れる子もいた。真っ青な顔の大人もいる」。こう話すのは、かつてミニバスケットボールのコーチを務め、現在はバスケチームの一員として大鋸小学校で活動する長根山真澄さん(46・西富在住)。学校関係者などが出席する体育館利用会議の場で、3年ほど前から空調設備の設置を訴えてきた。
2人の子どもは藤ヶ岡中に通っており、「何かあってからでは遅い」と危機感を抱き、「小中全体育館に取り付けてほしい」という内容の署名活動を展開。1年掛かりで約千通が集まり、6月に教育委員会に提出した。
しかし今回の設置対象校に大鋸小は入らなかった。「市が動いたことはありがたい。でも緊急性が求められている学校もある。困っている市民の声を聞く耳を持ってほしい」と憤りを隠せない。
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