第50回衆院選は10月27日に投開票され、神奈川12区(藤沢市・寒川町)では立憲民主党前職の阿部知子氏(76)が自民党前職の星野剛士氏(61)ら4氏を破って9選を果たした。小選挙区では2017年から3連勝、県内の当選者では最年長となった。9期目に向けては「核兵器廃絶の先頭に立ちたい」と抱負を語った。
午後11時40分ごろ、当選確実が報じられると選挙事務所に集まった支援者らが歓声をあげた。阿部氏は「皆さん、遅い時間までありがとうございます。おかげさまで9回目の当選が叶いました」と喜びを露わにした。
選挙戦では「命に寄り添う政治の実現」を掲げ、世界各国で起こる戦争を「時代の課題」と捉えて核廃絶を強調。また小児科医の立場から、健康保険証の存続や産後ケアの拡充なども訴えた。
選挙戦前から公民館などでタウンミーティングを重ね、早い段階から幅広い層の支持を集めた阿部氏。「憲法9条と25条を守り、平和そして尊厳ある人間の生存権の問題を軸に活動していく」と意気込みを語った。
自民・星野氏は比例復活
星野氏は、阿部氏に約1万8千票差で敗北。選挙戦では、内閣府副大臣として防災担当を務めた経験をもとに、自公連携による防災体制の強化などを主張した。
小選挙区で敗北を喫した星野氏は、選挙事務所に駆けつけた支援者らを前に「全ては私の責任。結果を重く受け止めなければならない」と深々と頭を下げた。
一夜明けた28日、比例復活を受けたことに関して本紙取材に応じた星野氏は「政治とカネ」の問題を強く感じた選挙戦に触れた上で「お金の問題を含む政治改革を進める」と決意を新たにすると共に「これまで取り組んできた防災庁の創設や子育て支援、景気対策などにまい進していく」と述べ、再起を誓った。
日本維新の会元職の水戸将史氏(62)は税理士の知見を生かし、政治資金の流れの透明化や複数税率の見直しなどを掲げたが、落選した。「『政治とカネ』の問題を取り上げてきたが、国民の関心事にきちんと向き合えたのか、私の訴えが有権者に届かなかったのでは、と反省している」と選挙戦を振り返った。
教育予算の拡充や減税による消費拡大などを政策の重点に置いた参政党新人の江岡貴宏氏(38)は「約1年4カ月、政治活動に力を注いできただけに、とても悔しい。しかし政策はインターネットでも発信でき、有権者に刺さらなかったわけではないと思う。参政党の存在を知ってもらうことはできたのではないか」と締めくくった。
日本共産党新人の加藤なを子氏(66)は、災害に強いまちづくりや憲法9条を生かした軍備に頼らない平和外交などを訴えた。「選挙期間中は社会保障や医療、物価高騰に対する不安の声をたくさんいただいた。小選挙区では当選が叶わなかったが、比例で日本共産党に託していただいた皆さまの思いを力に変えていきたい」と前を向いた。
藤沢市内の小選挙区投票率は53・56%。前回衆院選より3・2ポイントマイナスとなった。
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