鵠沼橘在住の映画監督、谷光章さん(79)は今夏、母親の生涯を紹介した著書『103歳”好き”に生きたわ 千江子流 人生アルバム』を上梓した。その出版を記念する企画展が「Art&Cafe 湘南くじら館」(片瀬目白山1の3)で開かれている。24日(日)まで。
母の千江子さん没後、藤沢の実家で遺品を整理していた谷光さん。屋根裏部屋の物置で発見したのは、兵庫県から引っ越してきたまま全く手付かずに仕舞われていた段ボール箱の山だった。一つ一つ丁寧に梱包された品々を開けてみると、20歳で結婚してから書き続けた日記や家計簿などが出てきた。それらを手に取って読み進めていくうちに、戦争や水害、泥棒との対面、交通事故など苦難を経験しながらも、持ち前のユーモアと天真爛漫さで大正から令和まで激動の時代を生き抜いた証を如実に示す貴重な物ばかりだった。晩年には「オレオレ詐欺」の被害に遭ったり、認知症になったりもしたが、日常に小さな喜びを求めて常に笑顔で乗り越えた母のことを、谷光さんは一冊にまとめることにした。
また、5年前には千江子さんとの介護生活をドキュメンタリー映画『99歳 母と暮らせば』の制作を通し、広く発信。現在全国80カ所近くで上映され、話題を呼んでいる。
本の発売について谷光さんは「長寿で自分らしく生きるヒントをつかんでもらえれば」と話す。
会期中は同書が販売されるほか、千江子さんが残した書や短歌、手芸品など約50点も展示。開館は金・土・日曜の正午から午後5時。問い合わせは同館【電話】0466・21・9262。
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