藤沢駅前で夕暮れの空を飛び交うムクドリが、駅利用者や周辺住民の悩みとなっている。鳴き声による騒音や糞害などが発生しており、藤沢市でも木々の剪定や音、忌避剤などを活用して対応に試行錯誤している。
ムクドリは全国各地でみられる鳥で、スズメとハトの中間程の大きさだが、「ギャーギャー」と大きな声をあげる。かつては農作物に害のある虫を食べる益鳥とされていたが、森林の開発などで生息環境が変化。大型の鳥など外敵が寄り付かない都市部に適応して、近年影響が目立つようになっている。
藤沢駅南口では、10年ほど前から大量のムクドリと市職員との戦いが続いている。繁殖期を終えた夏から群れが大きくなり、空が薄暗くなると、どこからともなく数羽から数十羽のムクドリが飛来し、徐々にかたまりとなって空を覆う。完全に日が落ちると、幾重にも重なった鳴き声とともに一斉に木々に降りる。付近で話を聞くと、「午後5時頃になると一斉に来る」「鳴き声が凄いし、糞が落ちてきて怖い」などの声があがる。
課題となる駅前のムクドリだが、鳥獣保護法のため駆除することができず、市では試行錯誤しながら対策を講じている。
寝床となる街路樹について、市道路維持課では定期的な枝の剪定を行い、昨年10月はバスターミナルのケヤキを剪定。今年も先月からクスノキの枝を剪定している。
また、唐辛子の成分を含んだ忌避剤を幹に塗る対策も行い、同課では「塗った木と塗らなかった木で鳥の数に差があり、効果は3カ月ほど続いた」と分析する。
木々の剪定や忌避剤によって、ムクドリが駅前再開発の大型クレーンに止まる姿も見られたことから、鳥が嫌がる超音波装置を設置し、効果を検証している。
しかし、ムクドリの被害は近隣他市でも発生しており、追い払ってもまた違う場所で被害が発生するなど、根本的な解決が難しい状況だ。同課は「木々の剪定や忌避剤などいろいろな対策を検証しながら、継続的に取り組んでいく。人々の影響のない場所へ移動してもらえたら良いのだが」と話す。
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