第15回北斗賞を受賞し、句集の刊行が決定した 古田 秀さん 村岡東在住 34歳
17音につづる「詩の核心」
○…「注ぎくれし喪主へビールを注ぎやりし」――。感じたことや見たもの、経験を一句に落とし込み共感を与える。「俳句の魅力は、作者の表現が、読んだ人の物語を呼び起こすこと。自分にもこういう経験があったなと親しみを感じてくれればありがたい」。わずかな字数の中に込められる内容を思い浮かんだ瞬間が、句作をする中での楽しみの一つだ。
○…北海道の出身。大学の薬学部で創薬の研究を行い、俳句とは無縁だった。静岡県の製薬会社に勤めて3年、俳句の腕を芸能人が競い合うテレビ番組を見たことで興味を抱き、句作を始めた。「映画鑑賞や読書などの消費的な趣味では物足りなくなった」。初めは独学で、SNSのアカウントを作り、同世代の人などと句会や吟行などで交流した。
○…「上達していくに連れ、良し悪しの違いを学ぶことや新しい表現をするため、すでにある技法を学ぶことに限界を感じるようになった」と、同じ静岡県で活動する俳人の恩田侑布子さんに師事。「陳腐にしないこと」や「説明文にしないこと」を学んだ。「例えば道にイチョウの葉が落ちていて『黄色い絨毯』と表現するなど、多くの人が持っているであろう共通認識を特別な風に言ってはいけないし、事実の報告になってもいけない。17音に詩の核心がなければならない」と話す。
○…昨年12月に藤沢に転居し、普段は市内にある創薬の研究所で働く。思い浮かんだ句をスマートフォンや句帳に書き留める日々。ドライブが好きで各地に訪れ、その情景を映す作品も多く詠んでいる。「俳人の世界ではまだまだ自分は若造。年齢に関係なく楽しめるものとしての俳句の魅力を知ってもらいたい」。探究は続く。
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