2023年の新型コロナの5類移行など厳しい状況を乗り越えて経済活動が再開され1年半。傷跡が癒えぬ内に、原油高、原材料の高騰、顕在化する人材不足と、新たな課題と向き合うこととなった中小企業。伴走型支援を掲げ、そこに手を差し伸べ続けているのが、藤沢商工会議所だ。新たな年を迎えた今、本紙では増田隆之会頭にインタビュー。増田会頭は「まちの活性化は中小企業の活性化があってこそ」とし、「目標を定めれば必ず道は見えてくる」と柔和ながら力を込めて語った。
――市内の事業者の現状をどう捉えていますか。
「大変厳しい状況と捉えています。製造業はまだ安定していますが、非製造業は、原油高から原材料の高騰、人材不足などの逆風が吹き、他方でコロナ禍の融資の本格的な返済も始まり大変厳しい状況です。
そんな中、事業者のみなさんは、やむなくそれらを価格に転嫁したり、業務効率化を図ったりと不断の努力をされています」
――その現状を踏まえ、今年の重点的な取り組みを教えてください。
「中小・小規模事業者の強みである自己変革力をいかし、進化や変化に果敢に取り組んでいくことが重要です。商工会議所としてその挑戦に寄り添う伴走型の支援をより強化していきたいと考えています。
また、市域全体の活性化を図るためには、商工会議所、産業振興財団、商店会連合会の経済3団体と、行政との連携協力も不可欠です。商工会議所では約3700の会員企業、産業振興財団は製造業や起業家、商店会連合会は文字通り地域商店会やその会員である個店など各々対象はありますが、横断的に情報交換しながら、何ができるのか考えていきたいと思います。
加えて、会員間の交流促進をしていきます。同業種、異業種問わず、人と人との交流は、経営や課題解決のヒントが得られたり、協同事業などが生まれることがあります。さらに苦労を共感し合うこともできると思います。会議所としてそんな人脈拡大につながる『会員交流会』などを今まで以上に開いていけるようにしていきたいと思います」
――交流としてイベントにも注力されると聞きました。
「経済とまちの活性化への取り組みとしてイベントはとてもいい。会員同士はもちろん、来場される市民の方々とも交流ができます。さらに今年は『藤沢市民まつり』が50回目を迎えます。『ふじさわ産業フェスタ』『藤沢宿・遊行の盆』『藤沢ワイン祭り』も含めてですが、改めて節目に相応しい、まち全体が元気になるようなイベントにしたいと思います」
――昨年の能登半島地震など自然災害に対する事業者の備えの支援もあると聞きました。
「命を守り、まちを復旧させていくことが行政の役割ですが、本当の復興、活性化は地域事業者のみなさんが元気になること。この支援をする会議所が果たす役割は重要です。東日本大震災を経験した東北の会議所、商工会の皆さんもそう仰っていました。行政と連携してどんな補助メニューをどういう形で進めるのか、事業者の実情を知る会議所がその支援体制を作ることが大切です。そのために、行政とのパイプを強固にするとともに、早期復興に向けた支援体制を早急に構築したいと思います。
また、個々の事業者では、災害時でも従業員の命と企業の資源を守りつつ、事業を停止させない『事業継続計画(BCP)』の策定が経営に欠かせない要素となっています。その策定支援も積極的に行っていきたいと考えています」
――今後の展望は。
「今後4年の中長期計画『チャレンジ行動指針2029』を今年、策定します。藤沢市の産業振興計画と関連付けてSDGs(持続可能な開発目標)やDXなどの取り組みを盛り込み、地域全体の経済活性を促すようにしていきたいと考えます。『無くては困る商議所!』とみなさんにこれからも言っていただけるよう、尽力いたします。
国内外の不安定な情勢など先行きはまだ不透明です。しかし、『まちを元気にする』という目標を定めれば必ず道は見えてきます。これを信じて様々な皆さんと協力していきたいと思います」
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