川崎競馬騎手会会長を務め、地方通算2000勝まで目前の活躍をみせている今野(こんの)忠成騎手(34・安池成実厩舎所属)が、毎年年末に児童養護施設「聖園(みその)子供の家」へ寄付を行っている。
今野騎手が物心付く前に母親が家出、8歳から15歳まで同施設で育った。大清水小、中学校へ通い、「友達は多かったかな。集団生活や人との関わり合いを学べた」と当時を振り返る。
騎手駆け出しのころから毎年50万円を寄付し続け、今年で15年目。年末には施設へ赴き、後輩たちの顔を見る。今では「馬に乗る人だ」と声をかけられることも。
寄付のきっかけは、デビュー前から世話になったという育ての親、故鈴木敏一調教師の「聖園がなかったら今のお前はいなかった。10年は寄付を続けてみろ」という言葉だった。「めったに褒められないけれど、続けたときは褒めてもらえた。嬉しかったね」と今野騎手。
栄光も苦難も経験
騎手人生で思い出に残っている馬は、インテリパワー号。共に挑んだ「金盃(きんぱい)」はハンデもきつく馬場も悪かったが、先頭で駆け抜け、自身23歳での重賞初制覇となった。喜びも束の間、翌年には落馬事故も経験。頭蓋骨骨折に、くも膜下出血、右半身麻痺で約2週間昏睡状態に陥った。
競馬の魅力を「絶対がないこと。レースに出る以上、
どの馬にもチャンスがある」と語る。5人兄弟の末っ子に生まれ、見習い騎手だった兄の背中を見てジョッキーに憧れを抱いた。「やっぱり先頭でゴール板を抜けるのは至福の瞬間」。
家族については、夫人と6歳の娘の3人で暮らしている。レース開催時などは特に、家には戻れないが、家庭では娘の買ってきた雑誌付録の組み立てを手伝うなど、良き父だ。
実父は、くしくも育ての親と同時期の今年3月に他界。母親とは音信不通が続いているが「テレビや新聞で頑張ってる姿を見てくれればそれでいい。産んでくれてありがとう、僕は幸せにやっている、と伝われば」。
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