5月29日に「35周年記念演奏会」を行う「藤沢合唱団」に唯一、発足当初から所属する 櫻井 正雄さん 片瀬在住 72歳
この思い、歌声に乗せて
○…電電公社(現NTT)の労働争議の中で生まれた合唱組曲「母さんの樹」を歌うために集まった市民で35年前に発足した藤沢合唱団。当時から今も歌い続ける唯一の団員として、記念演奏会の舞台に立つ。「当初の団員は10人前後。合唱にならないくらいだった」と振り返るが、現在は60代から90代まで過去最多の45人が所属する大所帯。心を一つに、歌声を響かせる。
○…中学卒業後、働きながら定時制高校で学び、20歳の時、国鉄に入社した。運転士を目指す仲間が多い中、憧れたのは「車掌」。「何で車掌だったのか…」と首をひねる。市内を走る東海道線は、車掌試験合格後、22年間乗務した馴染みの路線だ。その職場の先輩の誘いで23歳から「なんとなく」始めたのが合唱だった。実は「高校受験の面接で『音楽が嫌い』と答えたほどだった」と明かす。それでも歌い続けてきたのは「いろんな人と知り合えたから」。自然と笑みが浮かぶ。
○…藤沢合唱団は「言いたいことを言える雰囲気」。鵠沼公民館を中心に、月5回の練習を行っている。1988年からは歌声喫茶もスタート。途中3年の休みを挟みながらも、開催は現在まで50回以上を数える。演奏会などで足を運んだ地方で仲間とする観光も楽しみの一つ。「企画は全部やる。好きなんだよ、遊ぶのが」と元鉄道員の力を発揮しスムーズな鉄道の乗継やルートなども考えるという。
○…「うたごえは平和の力・生きる力・闘いと共に」がテーマ。「技術はまだまだだけど、テーマを持った合唱団は少ない。思いを共有できたら」と話す。演奏会の曲目の中でも原発事故で避難を余儀なくされた福島県南相馬の中学生たちの思いを綴った『群青』は多くの人に聞いてもらいたい一曲だ。団員の高齢化もあり、若い世代を増やすことが目下の課題。「子育てが終わった人などにぜひ入ってもらいたい。楽譜が読めなくても大丈夫」。35年の思いを歌声に乗せて届ける。
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