10年かけ神奈川県内の「庚申塔」を調べ、1冊にまとめた 鷹取 昭さん 渡内在住 81歳
最後の仕事のつもりで
○…神奈川県内にある約6千基もの「庚申塔」を調べ、1冊の本にまとめた。由来から歴史、場所、形態など事細かに調査し、写真も加え分かりやすく紹介した。今までに例がない「設置場所一覧表」や「年代順一覧表」も掲載。本は270ページに及ぶ大作となった。「毎日、作業にかかりきりだった。正直、今はほっとしている。庚申塔に興味のある方の参考になると嬉しい」
○…10年前、健康のためにと散歩を日課にしていたが、「同じ道を歩いたって面白くない」と庚申塔に目を付けた。全国的に分布する信仰の石塔。全くの門外漢だったが、知り合いと地元藤沢を巡り始めると、その造形の面白さ、芸術性の高さにどっぷりはまり、東は川崎から西は山北、箱根まで県内を日を置かずに歩き回った。多いときで1日3万歩。土地の古老に尋ねたり、お寺や役所に出向いたりして、まだ見ぬ庚申塔を探し回った。「一つ探すのにも林の中、民家の庭隅など苦労は多かった。それでも県内の95%以上は所在を確認できた」と微笑む。
○…東京で生まれ、幼いときに東京大空襲を経験。強制疎開で山梨県上野原市に移り住んだ。6人兄弟の末っ子。大学を出ると、建設関係で電気工事の仕事に就き、定年まで勤め上げた。その前から趣味にしていたのが「城めぐり」。実はその道ではかなりの有名人で、全国の2000城を制し、「日本の名城100選」というホームページを主宰している。「昔の人の息吹を感じる」と魅了され続けている。庚申塔もその琴線に触れたようだ。一番のお気に入りは三浦にあるひとつ。「きれいに彫られた青面金剛に竜が巻き付いている。竜は珍しい…」と話は止まらない。
○…「自分の最後の仕事のつもりで作っていた」と本への思いを語る。自費出版で約100冊。市内では文書館と総合図書館に寄贈した。「たくさんの方のお蔭です。これで一区切り。発見していないものもあるので、ゆっくり調べたい」
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