認知症当事者の会でワイン講座を開催する 望月 省吾 さん 鵠沼在住 75歳
自ら発信、原動力に
○…ワイナリーで働いていた経験を活かし、2年前に自ら参加している認知症当事者の会でワイン講座を開催した。鵠沼海岸にある亀吉で地元のシニアを対象に、自身が選んだワイン数本とおつまみ、楽しい講話が好評を博した。そのうち参加者が友達を連れてくるようになり、今では当事者以外の人も。「私と付き合うといいことあるよ」と明るい笑顔で話す。
○…社会人になった頃、酒がほとんど飲めなかった。缶酎ハイなどで少しずつ覚え、55歳でワイン会社に出向したのを機に、59歳でソムリエの資格を取得。「これが第二の人生の始まり」と表現する。定年後、「甲州ワインの魅力を広めたい」と、山梨県勝沼市のワイナリーに再就職。見学に来た客と距離を縮めるため、自ら「もっちと呼んで」とアピールし、「和食には甲州ワイン」と、情熱を注いでいた矢先に悲劇は起きた。
○…藤沢市の出身。高校時代から憧れていたマンドリンの演奏を、大学で始めた。卒業後医薬品メーカーに就職、さまざまな部署を渡り歩き、ワイナリーに転職し2年半が過ぎたころ、交通事故に遭い1年半の入院生活に。懸命のリハビリで、杖があれば歩けるようになったが、大好きだった仕事は辞めた。絶望の日々を救ったのは、マンドリン。iPhoneに伴奏用の曲を入れ、イベント会場で一人ライブ。「このまま終わりたくなった。考え方も前向きに変わった」
○…杖はデジカメのついた自撮り棒。SNS投稿用で、「くくりつければ忘れない」と、認知症とも向き合う日々。しかし、その工夫すら楽しむパワーがある。笑いが絶えない理由は、今を目いっぱいエンジョイすること。「ワインのある生活とマンドリンの魅力を知ってほしい」と、自ら発信しつづける姿に、元気をもらう人が多い。
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