自宅で「クッキングケアサロン」
辻堂新町で長年愛され、今年9月に惜しまれながら閉店した「湘南カレーパンシモンズ」。同店を17年切り盛りしてきた岡田託司さん(66)・京子(みやこ)さん(67)夫妻が今、新たな取り組みに奔走している。20年近く連れ添った2人が第二の人生に選んだのは、心や精神に傷を負った人を料理を通じて癒すケアサロンを開くことだ。
「つい先日改装が済んだばかりなんですよ」
自宅がある本鵠沼のマンションをリフォームした、約16帖の部屋で夫妻がほほ笑む。ここが心に傷を抱えていたり、障害のある人、不登校など何らかのケアが必要な人たちに一時的に場所を提供する「クッキングケアサロン・シモンズ」だ。
一般的な料理教室とは異なり、料理に参加するもくつろぐも自由。必要があれば夫妻が作り方を手ほどきしたり、話し相手になったりもするが、料理はあくまで心を癒してもらうためのツールという位置づけだ。
辻堂新町商店街の入り口近くに小さなカレーパン屋をオープンしたのが2002年4月のこと。夫婦それぞれ50歳で再婚。「2人で一緒にできることを」と製パンメーカーで開発に携わっていた託司さんの発案で開業し、以来、二人三脚で店を切り盛りしてきた。
名物は地元名産の湘南シラスをふんだんに使った揚げたてのカレーパン。看板商品は瞬く間に口コミで広がり、いつしか市の観光名産品の一つにもなった。
ただ、2人もあと数年で古稀。一日14、5時間は店に立ちっぱなしの生活に体力的な限界も感じ、「元気なうちに店をたたもう」と今年6月に閉店を決意した。
世間に恩返しを
ケアサロンは京子さんの発案だ。店舗時代から高齢者施設で毎週パンを販売していたが「皆さんが本当に楽しみにしてくれていた。認知症気味の方も毎週買いにきてくれて」と京子さん。その後施設に出張して料理教室を開くと、ふさぎこみがちだった利用者の表情が一様に輝いた。
「誰もがひとつは思い出がある料理という共通項があることで、参加者に交流が生まれる。料理を通じて、世間に恩返しがしたい」。京子さんのアイデアに託司さんも「これまでは自分に付き合ってくれた。自分の好きなことをしてほしい」とサポート役を快諾した。
シモンズの店先は、揚げたてを待つお客同士の交流の場でもあった。2人も椅子を置いたり、お茶を出すなど、高齢者や子どもに優しい店を目指した。これまで大事にしてきたホスピタリティーを信条に。京子さんは「ここで過ごす時間が、利用する人にとって少しでも良い方向に変わるきっかけになれば」と話した。
◇
サロンの利用に関する問い合わせは京子さん【携帯電話】090・6171・0437へ。詳細はホームページ(「クッキングケアサロン・シモンズ」で検索)へ。
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