都市整備
一昨年末、県と藤沢、鎌倉両市の間で交わされた3者合意。JR東海道線の藤沢─大船駅間で設置が検討されている「村岡新駅」について3県市が”タッグ”を組み、30年来の構想を強力に推進するというのが合意の内容だった。
ヘルスケア政策の新拠点を作りたい県と、隣接する深沢地区を「第3の拠点」として整備したい鎌倉市。藤沢市も将来的なまちづくりを視野に検討を進めるが、両者に比べればやや温度差がある。新駅が立地するものの、村岡地区の整備区域は深沢地区の3割足らず。また市の都市整備に関しては「新駅誘致よりも喫緊の課題がある」とある市議は指摘する。
「藤沢駅周辺の再整備こそ最重要課題だ。市長は対外的に言いづらいだろうが、優先度がまるで違う」
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「藤沢駅は3線が乗り入れる交通の要衝としての強みがある。だが、裏を返せば今はそれしかない」
経済団体関係者の一人は、現状をそう評する。
同駅の一日の平均乗降客数は市の人口と同規模の約41万人。周辺には商業施設が建ち並び、かつて市内最大の賑わいを誇ったが、近年は産業構造が変化し隣駅の大船や辻堂と比べて活気が見劣りするようになった。「藤沢駅は街の心臓部。活性化は絶対に必要だ」と関係者は声を揃える。
市は2012年に策定した「藤沢駅周辺地区再整備構想・基本計画」に基づいて同駅周辺の再整備を進める。昨年末には北口ペデストリアンデッキの改修が完了。今後は東西地下道を一新し、南北自由通路の拡幅を経て、10年後をめどに南口の整備に移る。バリアフリーなど時代に沿った機能や景観に変え、利用客の回遊性や集客力を高めるのが最大の狙いだ。
前出の関係者も「動線が変われば、観光客の動きも必ず変わる」と期待する。ただ、こうも付け加えた。
「周辺の商業ビルも老朽化が進み、更新の時期が近づいている。民間投資を促すには、この街が向かっていく未来像が欠かせない」
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再開発が進んだ昭和40年代。駅周辺には競うように商業施設が次々と完成した。だが時代は変わり、06年には国内一号店だった「東急ハンズ藤沢店」や「丸井藤沢店」が相次いで閉店。「悪く言えば昔の行政が商業ビルの”乱立”を見過ごしてしまった。まちづくりのビジョンがはっきりしていれば、別の未来もあったかもしれない」と振り返る。
「湘南の玄関口」であり、かつては東海道の宿場町として栄えた藤沢。子育てのしやすさや文化、観光、自然環境の豊かさなど街の魅力と呼べるものは豊富にある。
「例えば歴史やスポーツに特化した街など、長期の視点で特徴づける時期に来ているのではないか。目先のことではなく、実現でき得る未来を指し示すこと。それがこの街のリーダーには必要だ」
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