寒くなると恋しくなり、入ったら出られなくなる。そんな温もりが物語に――。
画家の麻生知子さん(38)=羽鳥在住=が15日、絵本「こたつ」(福音館書店)を出版した。ある家族の大みそかから元旦にかけた約1日半を、こたつを中心に真上からの定点観測で見るストーリー。「今日は夜中まで起きている」と宣言した少年「こうたくん」を中心に、おせちの準備を手伝ったり、年越しそばを食べるなど、家族とともに新年を迎える喜びが描かれている。
「子どもの頃にワクワクした、年が変わる日の特別感を表現したかった。大人にとってはどこか懐かしく、子どもには新鮮かもしれない」と麻生さん。油彩とコラージュで年賀状や菓子の包み紙、おもちゃなど細部にまでこだわった団らんのひと時がページをめくるたびに広がる。
登場人物は麻生さん自身と家族がモチーフ。小3の息子、34歳年上の夫、96歳の義母、猫のクロが、物語では設定を変えて登場している。「より共感できる場面を描くために、実体験を織り交ぜて物語を紡いでいる」
今こそ希望を
油絵制作や友人の画家とともに旅先で題材を探し制作、発表をその土地で行う「ワタリドリ計画」などの活動をしている麻生さん。今回の企画は数年前から進んでいたが、原画制作に取り組んだのは今年春。図らずも緊急事態宣言下と重なり、「人が集っている絵を世に出していいのか」と葛藤した。それでも「今だからこそ、温かさや希望を感じてほしい。絵本の中のこたつに一緒に入っている気持ちになってもらえたら」と思いを込めた。
26cm×26cm、32ページ、税別1300円。有隣堂テラスモール湘南店ほか全国書店で販売中。
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