知られざる絵画の「内臓」が、最新の電磁波調査でよみがえる――。
藤沢市が所蔵する長谷川路可作のフレスコ画「イタリアの想い出」の初となる科学調査が、5日から12日にかけ実施された。テラヘルツ波と呼ばれる電磁波を用いた調査で、作品を傷つけずに下地や内部構造を調べることができるもの。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」や奈良県の高松塚古墳などでも同調査を行ってきた国立研究開発法人情報通信研究機構が実施した。
長谷川路可は昭和期に活躍した画家で、国内のフレスコ画のパイオニアとしても知られる。同作は路可がイタリアから帰国して翌年に作成し、その後キャンバスに移し替えるストラッポ技法が取られている。絵の具の剥がれなど損傷が激しく、将来的に修復が必要となると想定される中、今回の調査結果は修復計画の指針に期待される。
詳しい調査結果は分析中だが、キャンバス内部の枠組みにズレが予測されることなどが分かった。市アートスペースは「結果を今後に生かし作品保全に役立てたい」と話した。
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