水耕栽培と水産養殖をかけ合わせた、次世代の循環型農業「アクアポニックス」の試験場「湘南アクポニ農場」が2月に打戻に完成した。運営する(株)アクポニの代表、濱田健吾さん(42)は「環境と生産性を両立でき、何より簡単。新たな農業の形として、食糧危機など世界を変えられる」と力を込める。
ビニールハウスの中では、液体肥料の入った水を土代わりにする水耕栽培の畑が広がる。つながるチューブの先にある水槽の中にはいずみ鯛やエビ、金魚が数十匹泳ぐ。
アクアポニックスは、魚の養殖水を微生物で分解し野菜へ与え、きれいになった水をまた養殖水に使う「完全循環型農業」だ。水槽の水替え、土作りや水やり、除草などは不要で、生産品も安全性が高いとして、世界的に注目されているという。
「別名『さかな畑』と呼んでいます。無駄なく自然の縮図のような仕組み。面白い」。濱田さんは約6年前、IT企業在勤中に趣味で始めた「アクポニ」に魅せられ、発祥の地であるアメリカへ。現地の農場で働きながら研究者を訪ね、中南米やアフリカなど食糧問題を抱える地域からの視察者と話す中で可能性の大きさを実感した。一方で、システムや生産する品種など、技術的発展が遅いことが気になったという。「日本の農業技術力を持ってすればさらに生産性は向上するはず」と2年で研修を切り上げ帰国。横浜で会社を立ち上げた。
念願の試験場では、企業などの視察受け入れのほか、チョウザメやカカオなど、従来では珍しい種の養殖・栽培にも挑戦している。また福祉施設や教育現場からの相談をきっかけに、生きがい作りや食育向けの製品技術開発も進めている。「藤沢から世界へ、新農業革命を起こしたい」
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