子宮頸がんに正しい知識で立ち向かおう――。藤沢市は今年度、市内の小学校6年生と高校1年生の女性に、子宮頸がんとHPVワクチンを知ってもらうためのリーフレットを配布する。厚労省が昨年1月に示した方針案に基づくもので、2013年から続くワクチン定期接種告知の「空白の期間」を埋める策として期待される。
リーフレットは厚労省が作成。「子宮頸がんとは」「ワクチンと検診」「ワクチンの効果とリスク」「接種希望する際の各自治体での対応」などをイラスト入りで紹介。市は昨秋も定期接種対象者全員に配布した。
同ワクチンを巡っては、09年に国内初承認、10年に一部公費負担が開始。13年4月に小学校6年生から高校1年生の女性を対象に定期接種が開始した。しかし接種後に副作用を訴える被害が寄せられ、同年6月に公費負担は続けるものの、積極的な勧奨は中止した。
市内の接種状況も13年以降激減。12年に1507人だったものが14年は10人に低下し、19年も96人に留まる。
市内で産婦人科を営む門間美佳さんは、講演会などで啓発活動を続けてきた。公費接種に年齢制限があることに触れ「3回接種のため、公費で打ち終えるためには16歳の9月までに開始する必要がある。実費での負担は1回1万6千円前後。検診可能となる20歳になってからワクチンのことを知り、後悔する人が多い」と警鐘を鳴らし、リーフレット配布に期待を寄せる。
一方、副作用問題も、接種後の重篤症状が残る人はまだおり、完全に解決したわけではない。
谷津英美市議は6月23日の市議会6月定例会で、HPVワクチン接種の情報提供の取り組みについて一般質問。「接種判断する上で、リーフレットにはワクチンのデメリット情報に欠ける」と改善を訴えた。谷津さんは「私自身も娘を持つ母親。後悔しないために知りたい」と話す。
検診と両輪で
子宮頸がんを減らす上で、ワクチンとの両輪となるのが定期検診だ。
国の検診の指針に合わせ、市は、毎年実施していた子宮頸がん検診を、今年から2年に1回に減らした。一方で、若年層の検診を推奨するため、20代の検診を負担し無料にしている。門馬さんは「どちらが欠けてもいけない」と話し、谷津さんも「ワクチンは検診の代替にはならない」と検診の推進を訴えた。
子宮頸がん(HPV):ヒトパピローマウイルス
(HPV)の感染が原因で発症すると考えられている疾患。女性には性行為を通じて感染し女性の多くが「一生に一度は感染する」ともいわれる。ウイルス自体は、感染後ほとんどの人は自然に消えるが、一部の人ががんを発症するとされる。
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