東京五輪の1都3県で実施される競技が無観客になったことを受け、セーリング競技会場のある藤沢市は9日、「シティキャスト」(都市ボランティア)の活動中止を決めた。数年前から共に準備を進めてきた市とボランティアからは落胆の声が聞かれた。
都市ボランティアは藤沢市が募集し、観戦客の交通誘導や観光案内、大会案内などを予定していた。無観客が決まったことで活動の場が無くなり、市は参加予定だった約800人にメールで中止を伝えた。
ボランティアの一人、山本智子さん(50)=本町在住=は五輪大会に関わりたいと応募した。「楽しみでワクワクしていたので、中止になり参加できないのは残念」と悔しさを口にしながらも、「この経験をこれから生かせれば」と前を向いている。一緒に準備を進めていた市や他のメンバーにも触れ「一緒に活動できて感謝している。恩返しができたら」と話した。
また、大野永太郎さん(76)=本町在住=は「仕方ない」と割り切っているようだ。大野さんは、得意の英語を生かそうと参加。大会中でも体力がもつようにと、毎日ウォーキングを続けてきた。「無観客でも競技が開催されることにほっとしている。中止は仕方がない」と話した。
市も突然の決定に複雑な心境を隠せない。市オリンピック・パラリンピック開催準備室の担当者は「シティキャスト活動の中止は大変苦しい決断。長い時間かけて共に歩んできた思いがあり、今では家族のようなつながり。残念の一言」と肩を落とした。
市は今後、別の形でボランティアが活動する場を作りたいと、インターネットの利用を検討している。また、大会後には、これまで培ったスキルや経験をいかしてもらおうと、新しくボランティアグループを立ち上げる予定で、活動の継続を呼び掛けている。
小中生の観戦中止
また、東京五輪無観客を受け、藤沢市内の小中学生300人を対象に予定していた競技観戦が中止となった。県教委が14日、参加を予定していた9市町村に通知した。
市は、競技会場ということもあり、子どもたちの未来に役立ててほしいと観戦希望者を募る予定だった。市教委は「貴重な機会だったが、見に行くことが全てではない。レガシーをどう子どもたちに残せるか検討したい」と話した。
鈴木市長「やるせない気持ち」
鈴木恒夫市長は9日、定例記者会見で「無観客はやむをえないが、残念な気持ちだ」とコメントした。
市は、片瀬東浜や市役所などで、競技を大型ビジョンで見るパブリックビューイングを予定していたが中止に。今回都市ボランティアの活動も中止となり、鈴木市長は「市民の方々と一生懸命準備を進めてきたこれまでの事を思い返すと、やるせない気持ち。だが、大会が中止になるわけではないので、市民の方々が今後の活力につながるよう、次のステップへつなげていきたい」と話した。
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