江の島にまつわる約50点を集めた特別展が、9月5日(日)まで藤澤浮世絵館(辻堂神台ココテラス湘南7階)で開催されている。葛飾北斎や歌川広重ら古今多くの絵師たちが描いてきた「江の島」。絵師らが込めた思いや当時の人にとっての江の島がどのような場所だったのかを、展示を通じてひも解いている。
北斎や広重など約50点を展示
同館所蔵品だけで約200点近くある江の島関連作品。市郷土歴史課によると、多く描かれた理由はそもそも「売れ筋」だったからだという。
絵師の中でも歌川広重は特に多く、今回の企画だけでも15点を展示。同課は「富士山を背景に海に浮かぶ伝説の伝わる島、ということ自体が絵になる素材として好まれたのでは」と分析する。描かれる三大要素は「頭部に緑」「真ん中が岩」「砂州の道」。縁起絵、美人画、名所絵など、目的や時代に合わせ様々な描写があるという。
勝川春章の「相州江之島ノ風景腰越ノ方ヨリ見図」=画像左下=のように、初期の浮世絵では、富士山とセットとなった「縁起絵」としての作品が多い。これは、島の成り立ちに関わる「弁財天と龍伝説」が歌舞伎の題材としても当時からよく知られており、島自体の神秘性が人気を集めていたためだという。
また、弁財天は芸の神様でもあるため、芸事の参詣者が多かった。そのため、歌川広重の「相州江之嶋弁才天開帳参詣群集之図」=画像上=など、詣でる人気芸者らを題材に描いた「グラビア」的作品も多い。
江戸中期以降は庶民の旅が盛んになり、東海道などの名所ブームが到来。江の島は関所なしに来られる観光地として広く人気の場所で、葛飾北斎の「冨嶽三十六景 相州江の嶌」=画像右下=のように、参詣自体を「観光写真」のように描いた名所絵も盛んに作られた。同課は「時代が変わっても、江の島は変わらない。当時の人と思いを通わせ、お気に入りの作品を見つけて」と話している。
開館は午前10時から午後7時。入場無料。問い合わせは同館【電話】0466・33・0111へ。
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