▼開館から半世紀以上が経過した藤沢市民会館の再整備を巡り、藤沢市が建て替えに向けた基本構想の素案をとりまとめた。従来施設を含む10の機能を集約させる予定で公共施設の複合化としては過去最大規模となる。
同会館は成人式を始めとする記念行事や文化芸術活動の発表の場として長年親しまれてきた、市民の生活文化の拠点である。バリアフリー化はもちろん、あらゆる市民が使い勝手良く、時代に即した施設に生まれ変わることを期待したい。
▼市では、公共施設を再整備する際、単独での建て替えを原則禁じている。社会保障費が増大し、将来的な市税収入の落ち込みが想定される中、財政負担の低減を図るためだ。かつての”建設ラッシュ”の負の遺産ともいえる再整備は近年相次ぎ、複合化は時代の要請とも言えよう。
▼ただ、複合化に向けては吟味を重ねてもらいたい。素案では図書館や市民ギャラリー、青少年会館、市民活動推進センターなど10の施設があがる。様々なサービスが一カ所で受けられるなど、複数の施設を集約するメリットは大きいだろうが、機能が増えた分、文化芸術の拠点という理念がかすみはしまいか。大ホールなどの主要施設に十分な予算が回るのか、懸念も残る。
▼市は、民間のノウハウや資本を活用する運営手法の導入も視野に入れる。見込まれる事業費も当初の想定よりも50億近く膨らんでおり、将来に借金を残さないよう、収益性を担保する視点も欠かせまい。
▼大切なことは、施設整備を街の活力を創出する好機と捉えることだ。藤沢駅から徒歩圏内で、中心部のランドマークとも言える場所である。従来の機能を担保するだけでなく、明確なコンセプトを打ち出し、実現することができれば市内外に藤沢の魅力を発信することにもつながる。2016年11月に大和市が開設した文化創造拠点「シリウス」など好例もある。既定路線ありきでなく、他自治体の事例を参考に柔軟な発想を求めたい。
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