2月26日(土)から開催予定の第24回藤沢市民オペラ「ナブッコ」。プロの声楽家とスタッフ、行政とともに舞台を作り上げるのは、市民によるアマチュアの合唱団とオーケストラだ。開催まで1カ月を切り、佳境を迎えた練習風景をのぞいた。
先月29日、緊張感の漂う市民会館大ホールにイタリア語の力強い合唱が響く。曲は、ナブッコのクライマックスでエルサレムの民が故郷を想い歌う「行け、わが想いよ、黄金の翼に乗って」。60人ほどの市民の表情は真剣そのものだ。
関係者以外は近づかず、マスクを着用し、間隔を取った中での合唱のみの立稽古。この日は芸術監督・指揮の園田隆一郎さんの指導を受け、一曲一曲歌唱のポイントを確認した。
「ただ楽しいだけでなく、残酷な出来事を経た喜びを表現して」と園田さん。演出家の岩田達宗さんはオンラインから「目をもっと見開いて」などと指導した。
開催1カ月前。本来ならば演技を付け、オーケストラやソリストと合わせた稽古を行う時期。しかし、まん延防止等重点措置に伴い1週間前の練習は中止に。この日も合唱のみで人数を制限し、何とかこぎ着けた。
「合唱は1週間空くと、2〜3歩後退してしまう。だからこの場がありがたい。プロから直接指導いただける自分たちは幸せな環境にあると思う」。藤沢市合唱連盟理事長の門井淑治さん(67)はそう話す。連盟所属の56団体から選抜した約60人が参加するという。
「チケット代をいただくに値する、クオリティーの高い舞台を」。その思いが参加市民の共通意識だ。初期は日本語の訳詞で歌唱していたが、プロのソリストが原語歌唱が基本としていたことから切り替え、今回も4幕13曲すべてをイタリア語で合唱する。
もう一つの市民参加パートは、オーケストラ。第一回当初から参加し続ける団員もいるなど伝統を持つ藤沢市民交響楽団が務める。オーケストラピットと呼ばれる舞台前面部で約90人が演奏する様は、まさに舞台を支える屋台骨。同団団長の太田修二さん(66)は言葉に力を込めた。「オペラのオケは映画音楽のような役割を果たす。オケ、合唱、参加する市民全員が誇りを持って演奏している」
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