藤沢市は4月から出産直後の母親が心身のケアや育児指導を受ける「産後ケア」の事業を拡充する。これまで提携施設が1カ所だったところ、7カ所追加したほか、母親が休息を取ることを目的に、施設での宿泊や長時間の利用も可能にするなど内容を手厚くした。
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市は、2022年度一般会計予算案に関連経費(妊娠・出産包括支援事業費)として約2億7500万円を計上。同予算案は22日、藤沢市議会本会議で議決された。
子育て世帯の流入増などを踏まえ、市は昨年4月から同事業を開始。齋藤助産院(茅ヶ崎市芹沢)と提携し、授乳相談や乳房マッサージ、育児相談など、母子の希望に合わせたケアを3時間、自己負担額1500円(非課税・生活保護世帯は500円)で利用できるよう、利用料を一部助成している。
一方で、利用者のアンケート調査から「利用できる時間が短い」「宿泊したい」などの声もあり、より充実したサービス提供体制を整備。提携施設を同助産院1カ所のみだったところを、市内南北の2カ所、茅ヶ崎や大和など近隣市の助産院や病院、計7カ所を追加した。
また、母親が自分の時間を自由に過ごす時間が増えるよう個室でのケアに変更。コースもこれまで3時間のデイサービス型のみだったが、6時間のデイサービス型と宿泊のショートステイ型を追加した。
自己負担額は、デイサービス型3時間が3千円、同6時間が4800円、宿泊型が1日9千円。トータル7回まで組み合わせてケアが受けられる。
これまではケアを受ける際、出産後に申し込みを受け付けていたが、妊娠中から申し込みが可能に。産後すぐに受けることも可能になった。
市健康づくり課は「選択肢が増えることで、より利用者が自分に合ったケアを受けられるようになれば」と期待を込める。2023年度からは訪問型も検討し、体制を整えていくとしている。
「頼れる施設、増えてほしい」
民間施設でも産後ケアを重視する取り組みが広まっている。
本町の妊活マタニティーサロン「やさしいきもち」は昨年7月、産後ケア施設をオープンした。利用者の一人で、5歳と生後2カ月の子を持つ花山智秋さん(36)。2人目の妊活で精神面や経済面での悩みが尽きない中、睡眠不足も重なり、身も心もすり減らした。偶然ネットで同施設を知り、「誰かに頼っていいということに気付いて本当に救われた」。
出産後のホルモンバランスの変化や、育児に対する不安・ストレスなどから発症すると考えられている「産後うつ」。10人に1人がなるともされており、筑波大学などの研究によると、コロナ禍で産後うつの可能性のある母親は2倍以上に増えたという。
同施設代表の渡辺優子さんは、「産後ケアはまだ贅沢品のイメージがある。頼れるところは頼っていけばいいし、頼れる場所も増えていけば」と話した。
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