藤沢市の北西部に位置し、市内3大谷戸の一つに数えられる「遠藤笹窪谷(えんどうささくぼやと)」の一角に「(仮称)遠藤笹窪谷公園」がこのほど完成した。芝生の養生期間を経て、一般に向けては今夏をめどに開園する。同谷戸は市内有数の豊かな自然環境や生物多様性を有しており、市は環境保全を図りながら自然を身近に体験できる場として、市北部の活性化にもつなげたい考えだ。
浸水被害軽減、貯留機能も
先月末までに整備工事が完了し、同月29日、地域住民や市議らに向けた内覧会が開かれた。
同公園は谷戸底の約2・5haを活用し、散策路や「(仮称)生物多様性サテライトセンター」(延べ床面積約230平方メートル)などを整備。調整池には、周辺で発生する浸水被害軽減のため、最大1万1千tの雨水を貯留できる機能を備える。
周囲には、特別緑地保全地区に指定される斜面緑地と里山ならではの風景が広がる。生態学的にも良好な自然環境と評価され、湿地や樹林、草地などの多様な環境が生物多様性を支えているという。都市部の公園のように遊具は設置せずに散策を通じて、自然豊かな遠藤地区の魅力を体感してもらうのが狙いだ。
園内には、彼岸花やアジサイといった地域の祭りでも馴染みの草花を植栽し、ハナショウブやカキツバタが鑑賞できる菖蒲園や田んぼなども整備。同センターは自然保護団体の活動拠点や環境教育の場として活用することを想定しており、多目的室や展示ブース、展望デッキなども設けた。
市は地域住民の要望を踏まえ、地域活性化や防災機能の強化に資する公園の整備を検討してきた。2012年3月に策定した「健康の森基本計画」に基づき、17年度には基本設計、18年度に詳細設計を実施。19年度には工事に着手し、3カ年かけて完成させた。
市西北部総合整備事務所では「公園は環境保全によって生まれた新たな地域資源。広く情報発信をしながら地域の魅力を高めていきたい」と話している。
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