カジメやワカメ、アラメなど海に育つ海藻の藻場が減少・消失する「磯焼け」が世界的に広がっていることを受け、藤沢市は今年度から、原因の一つと考えられている「食害生物」の駆除に本腰を入れる。
相模湾の水産業発展のためこれまで、藻場保全に取り組む地域団体の補助を行ってきたが、市主体の事業として、江の島片瀬漁業協同組合とともにウニなどの調査と駆除にも取り組む。
◇
市はこれまで市内水産業の発展を目指し魚介類の放流に取り組んできたが、2020年から2カ年行ったアワビの放流など一部の種では定着に難航。原因にこれらが育つために必要な藻場の減少があると考えた。
藻場の減少は、温暖化による海水温上昇で特定の生物が増殖、生態系バランスが崩れることが影響していると考えられている。中でもウニやアイゴなど海藻を食べてしまう生物を「食害生物」と呼び、全国的に駆除などの対策が行われている。
藻場の保全に関して市は、豊かな海の維持やPRに取り組む市民団体「江ノ島・フィッシャーマンズ・プロジェクト」が行う保全事業に補助を行ってきた。磯焼けの進行が深刻化する中、新たな事業に取り組み、本腰を入れる形だ。
今年度の事業では、相模湾で増殖が顕著なムラサキウニの生態調査と駆除を予定する。作業は江の島片瀬漁業協同組合と協力。国内でウニを駆除した後に藻場が回復した事例を参考に、まずはこれらの食害生物がどれくらい生息しているかなどの調査と駆除を目指す。
農業水産課は「食害生物駆除に取り組むことで磯焼けから藤沢の宝、豊かな海を守り、水産振興を図りたい」と話した。
消えた江の島のカジメ
「磯焼け対策は急務」と話すのは、江ノ島・フィッシャーマンズ・プロジェクト代表の北村治之さん。江の島近郊海底に広がる藻場の保護保全に7年前から取り組んできたが、昨年、カジメ藻場の消失を確認した。
藻場の生態は謎も多い。江の島では3、4年前から急激にカジメが減少。種の素の海底設置などに取り組み20年10月に新たなカジメ藻場の再生を確認したが、しけなどの影響か2カ月を待たず消失。種から育った幼体も食害が確認された。現在の調査では、特にスズキ目のアイゴによる被害が深刻という。
「藻場の別名は『海の森』。食害生物に罪はないが、藻場の消失は、生態系全体に影響を及ぼす。海の危機を知ってほしい。地域で広く取り組みたい」と呼び掛けた。
|
|
<PR>
藤沢版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>