辻堂新町の自宅で「駄菓子屋 まほう堂」を週3回開いている 雨宮 由佳里さん 辻堂新町在住 52歳
魔法の詰まった場所に
○…毎週火・金・土の3日間、閑静な住宅街に元気な声が響き渡る一角がある。手にお小遣いを握りしめ、何を買うかを真剣な表情で選ぶ子どもたち。見守る保護者たちも一様に笑顔。その光景が見たくて、今年5月、自宅の庭を開放して駄菓子屋を始めた。名前は「まほう堂」。みんなが幸せになる魔法が詰まった場所にしたい―、そんな思いを込めた。
○…添乗員として海外を飛び回っていた20代。結婚を機に27歳で藤沢市に移り住んだ。幼稚園での助手を経て、40歳を過ぎてから保育士の資格を取得。児童発達支援センターで勤務していたが、自身の体調と新型コロナの影響もあり、2年前に退職した。「これから何をしようかな」。仕事柄、子育てに悩む多くの保護者に接してきたことから、家族みんなが笑顔になれる場所を作りたいと考えた。ふと思い出したのが、昔、近所にあった駄菓子屋さん。公園などでは遊びたがらない娘が、駄菓子を手に見せていた満面の笑顔の記憶がよみがえった。
○…今年2月、自宅の庭を改装しようと一念発起。レンガ150個を自ら敷き詰め、枕木や草花で彩りを与えた。すると不思議なことに、昨年まで咲く気配の全くなかった桜が、今春初めて花をつけた。「魔法みたいな話だけど、何かを始めてみなさいと告げられた気がした」。以降、家族の協力も得て、準備にまい進。開店にこぎつけた。
○…まほう堂を開店して想像以上にうれしかったこと。それは足が悪く、外出ができなかった祖母が、駄菓子屋での買い物を心から楽しんでくれたことだ。「いくつになっても駄菓子選びは楽しいもの。いつかは高齢者施設などに出張してみたい」。全ての人を笑顔にするため、これからも魔法をかけ続ける。
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