世界を食糧危機から救うのは、もしかしたら虫かもしれない――。今、「昆虫食」が静かなブームになっている。高タンパクで環境への負荷が少ないことから、持続可能な次世代の食糧として注目を集めており、世界各国で市場拡大の機運も高まる。果たして昆虫は世界が抱える課題の切り札となり得るのか。本紙40代記者が、夏休みの自由研究に臨んだ。
藤沢市内で昆虫食を提供している飲食店をネットで調べてみると、南藤沢にある店で一部採用しているらしい。ちょうど翌日に「国産昆虫食試食会」なる催しがあると知り、早速足を運ぶことにした。
向かった先は今年2月にオープンしたビストロ「RIKYU(リキュウ)」。この日は産地の異なるコオロギとカイコ、スズメバチの計8種類が並んだ。青リンゴのような香りが特徴という「タガメサイダー」なる商品も陳列されている。
どんな味がするのか、早速試食させてもらった。まずは広島産のコオロギを眺めると成体よりも一回り小さい。茶褐色で口に運ぶとほど良い塩気とぱりぱりとした食感でスナック菓子のようだ。味はほとんどないが、アーモンドのような香りが鼻へ抜ける。「それは広島産でアーモンドを食べて育ったコオロギ。雑食性で与えたエサの味が出るんです」と店主の角田健一さん(41)。
コオロギは一年中飼育でき、牛や豚などの家畜よりも少ない水や二酸化炭素でタンパク質を作ることができる。エサは食品廃棄物でも賄えることから食品ロスや環境負荷低減にも貢献するとして、2013年には国連食糧農業機関(FAO)が食糧問題の解決につながると発表した。
2年前に初めて昆虫食を体験した角田さん。食材としての可能性や食品ロスをなるべく出さない店のコンセプトと重なることもあり、自らの店でも提供するようになったという。ほとんどメニューでは昆虫を使っていないが、「シェフのおすすめ」としてコオロギの粉を練りこんだチーズスティックやアイスを提供している。角田さんは「選ぶ人はまだ少ないですが、『大豆ミート』や『バイオ肉』のように可能性に満ちた食材。これからも料理を通じて探求していきたい」と目を輝かせた。
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