第37回俳壇賞を受賞した 渡部 有紀子さん 藤が岡在住 43歳
毎日詠み続けて精進
○…「まづ石を 持って出てくる 冬の蟻」。受賞作「まづ石を」(全30句)にあるこの句は、寒さ厳しい冬に庭に出ると、1匹の蟻が石をくわえて出てきた様子を見て詠んだ。先生と慕った故・有馬朗人さんの教えで、自らのモットーでもある「サボらず、句会に出て、句を作り続けること」を体現し続けて、プロの専門俳人を発掘する登竜門である伝統ある俳壇賞を受賞した。
○…「俳句は17音しかない中で季語も入り、同じものを見ても人によって違う句ができるのが面白い。そしてお互いの良い所を探して高めあう。1人で作るものではなく、作者半分と読者半分で1つになる」と話し、そんな俳句を通じて、年齢の離れた人や、企業の重役を務めるような普段接点のない人とも出会えた。「だから俳句が、句会への参加が好き」と自然と笑みを浮かべながら魅力を語る。
○…結婚後、義父に勧められて俳句を始め、主婦をしながら隙間時間にできると、次第に毎日作るように。長女出産前も数カ月先までの句を句会にあずけるほど。産後もその熱は冷めやらず、4カ月で句会への参加も再開。「育児に協力してくれる夫や娘、句会の人、周りの人のおかげで続けられている」と感謝を口にする。俳句のテーマは自然だけでなく、最近聞く韓国音楽グループBTSの曲に着想を得たものも。「蓮ひらくモノクロームの世界より」。ライブ会場が暗闇からライトアップされた瞬間を見て詠んだ句だ。目につくもの聞こえるもの常にアンテナを立てて気持ちを句にたくす。
○…俳句を始めて10年。憧れ続けた賞も受賞したが、これからもやることは変わらない。そして「俳句を続けたい人の背中を押すお手伝いをしたい」と語った。
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