人の体と働きは、食べたものから――。働く上での食と栄養の大切さを説く労働栄養学研究者として知られた故・高木和男氏が設立したNPO法人湘南栄養指導センターが昨年設立20周年を祝った。民間としては珍しい栄養士の学びの場として始まり、「食育」の言葉が広まる前から食の啓発に尽力。高木氏没後も思いを受け継ぎ活動を続けている。
「おいしくなあれ、おいしくなあれ」。子どもらが声を掛けながらクリームを混ぜた。
3月27日、コロナ禍で中止となっていた子ども料理教室が3年ぶりに復活した。2003年に開始以来、51回目を迎える。この日のメニューは学校給食でも人気の「カレーピラフのホワイトソースがけ」「キャベツとたまねぎのコンソメスープ」「ひよこのスイートポテト」。小学1年から4年生まで6人が参加し、協力して調理。完成した食事を口にほおばり「おいしい」と笑顔を見せた。
高木氏は鵠沼で80年余りを過ごした。東京栄養食料専門学校校長などを歴任し、04年に96歳で没するまで栄養士教育に従事。同センターは、全国から集まった栄養士のための勉強会・通称「高木ゼミ」を母体に、私財を投じて高木和平記念館を建設、00年に発足した。
センターの活動趣旨は発足当初から変わらず「食べることで健康を維持し、元気で活動していくことは生きていくことの基本」。シニアや子ども向けの料理教室や講演会の開催、栄養士などの講師派遣、勉強会など食にまつわる活動を広く展開している。
現在のメンバーは約90人。藤沢市の学校給食栄養士も所属しており、給食に県内でもいち早く地産地消を取り入れるなど各方面に活動が伝播しているという。
ほとんどの活動はボランティアながら「高木先生から教わった食の大切さを伝え続けたい」との思いを抱く”弟子”や”孫弟子”も多い。副理事長の金山喜代美さんもその1人。料理教室を楽しむ子どもたちを見守りながら「食を通じた人と人とのつながりも受け継ぎたい」とほほ笑んだ。
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