鵠沼海岸の石島嘉人さん(50)による認知症の父を看取るまでの8年間を記録したドキュメンタリー「突然の余命宣告にはメニュー表があった」が先月、出版された。
超高齢社会を迎え、多くの人たちが直面する終末期医療から介護生活、葬儀に至るまで赤裸々につづった内容は指南書としても貴重な一冊。石島さんは17年前からパニック障害を患い、「人の3倍、5倍ストレスを感じる体質」。執筆の経緯について「伏せた方がいいのかなと思ったところもあるが、障害のある自分でも乗り越えられた。経験が皆さんのお役に立てるのなら」とありのままを書く決意をした。
同著は7章立て。父の余命宣告から始まり、他界するまでの終末期医療や交流の記録、葬儀に向けての準備、父の人生の振り返りや、8年間の介護生活などを書いた。
後半には、自ら学び考察した終末期医療への思いや、障害がありながら父を看取った中で生きることへの思いを記した。「親を見送ることや、死は誰にでも訪れること。現実として目を背けないことが大切だと思った」と話す。
本業は不動産管理業。元々は、コロナ禍で介護生活を送り亡くなった父の姿を、親族など近しい人に伝える「私家版」として書いた。だが出版社に持ち込むと「今の時代に必要なことが書かれている。流通させるべき」と言われ出版に至った。
「高校時代は作文で1文書くのがやっとだった」と苦笑い。障害を患い本を読むようになり文章力が鍛えられ、父の看取りは執筆含め価値ある経験になった。「全て人生の出来事には意味がある。今はそう思える」
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