江の島と片瀬海岸が干潮時に地続きになる「トンボロ現象」を新たな観光資源に活用しようと、藤沢市観光協会がPRの強化に取り組んでいる。19日には江の島北緑地に案内看板を設置したほか、21日には島に上陸するための階段を仮設。千人以上が利用するなど、関係者は新たな集客の起爆剤として期待を寄せている。
「トンボロ現象」は海の水位が低くなることで海底が露出し、陸地と島を結ぶ州が発生する現象。市観光協会によると、江の島では潮位が20cm以下になる年間60日ほど、干潮時に1時間程度の「海の道」ができる。
「トンボロ」はイタリア語で、日本語では陸繋砂洲(りくけいさす)と呼ばれる。地域住民にとっては馴染みの現象で、古くは鎌倉時代の文献や江戸時代の浮世絵でも描かれてきた。
限られた地形でしか見られないため、国内でも珍しい現象だが、同協会では積極的な周知は行っていなかった。江の島のトンボロは片瀬海岸から歩き始めると、江の島に上陸する際に高さ3mほどのフェンスがある江の島北緑地にたどり着いてしまい、子どもや高齢者などは乗り越えることが難しい状態になっていることなどが理由だ。
仮設階段に千人超
そこで同協会では、トンボロを観光資源として活用するため、今年度から新たな取り組みに着手。紹介する日本語と英語の看板を江の島北緑地に設置し、ホームページでは4月から8月にかけてトンボロが発生する日時の一覧も公開した。
21日には、江の島北緑地のフェンスの一部を撤去し、階段を試験的に設置。当日は穏やかな天候に恵まれたこともあり、同協会によると1150人が階段を利用した。仮設階段は次回は6月4日(日)にも設置される予定という。
トンボロ現象について観光で江の島を訪れた50代の女性は「時間とともに道が狭くなる様子がとても面白い。観光の活性化につながると思う」と話す。同協会の湯浅裕一会長は今後の活用に向けて「かつて徳川家康が江の島を訪れた時もトンボロが発生し、歩いて江の島に渡り、船で帰ったと伝えられている。歴史とつなげることで、魅力的な観光資源にしていければ」と青写真を描く。
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