▼藤沢市が対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を年度内にも導入する方針であることが明らかになった。文章の作成や要約、アイデアの提案などさまざまな活用方法があり、県内では横須賀市を皮切りに導入が進む。ただ、利用にあたっては個人情報の流出や情報の正確性などの懸念も指摘される。効率性や生産性向上といった利点の一方、内包する問題点を慎重に見極めたい。
▼チャットGPTはインターネット上の膨大なデータを学習し、質問を入力すると人間のように自然に答えることで話題になった。米新興企業が開発し、昨年11月に無料公開されて以降、世界的に急速に普及している。異なるサービスの比較、翻訳なども可能で、とにかく処理速度が早い。市が試験運用する文字起こしツールを使ったところ、通常職員が半日ほどかる議事録作成が1分とかからなかった。効率化した分、人しかできない仕事に時間を割くことができ、住民サービスの向上につながるという理屈はなるほどうなづける。
▼ただ、最新のテクノロジーも無論万能ではない。AIが情報を取得するインターネットには真偽不明な情報や個人情報も含まれるため、誤った情報が含まれたり、プライバシーが侵害される懸念がぬぐえない。また教育に与える影響も未知数で、チャットGPTに質問を投げかければ瞬時に回答を導き出す。作文や論文の作成も可能だ。子どもが安易に学習に応用すれば、自ら考える力が損なわれないかとの危惧が付きまとう。文科省は今後指針を作成する方針だが、市としても早急に対策を練る必要がある。
▼市はチャットGPTの運用は個人情報や機密情報を含まない領域に限定し、課題を検証しながら徐々に全庁で実用化する「スモールスタート」を掲げる。便利さと危険性は、刃物や自動車と同じく表裏一体だ。だが将来性が未知数である以上、慎重に過ぎるということはあるまい。市には本格導入の前に課題を入念に検証し、導入に向けた議論を進めてほしい。
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