藤沢翔陵高校卒業生・三本雅彦さん(33)が初となる時代小説単行本「運び屋 円十郎」を上梓した。9日から、全国書店で販売されている。
三本さんは鎌倉市在住で、2007年度に同校を卒業。17年に『新芽』で第97回オール讀物新人賞を受賞した。
5作品の連作短編で、時代は幕末の江戸。浪人の円十郎は「運び屋」という裏の稼業を持ち、依頼を受けて江戸の町を駆け回るという設定。
運び屋としての掟や、元運び屋である父・半兵衛との親子の確執など、現代にも通じる人間ドラマを丁寧に描いた。
「不変の魅力」描く
中学校の頃から小説を書き始めた三本さん。当初はファンタジーをテーマにしていたが、知り合いからもらった本の中から、時代小説に出会った。「文化や常識が違う時代を舞台にしているからこそ、友情や愛情、ライバル心など、人の不変的な感情が鮮明に伝わってきた」と振り返る。
大学生になってからは時代小説に絞って作品を描き、卒業後も会社員として勤務しながら短編を生み続けた。時代小説のファンはもちろん、未経験の人でも楽しめるような文章のリズムなどにもこだわったという。
初の単行本に「やっとここまで来ることができた」と喜びを語り、「若い人にも読んでもらい、歴史に興味を持ってもらえたら。作家としてここがスタートライン。作品を作り続けていきたい」と新作に意欲を燃やす。
文藝春秋刊行。四六判、296頁。1980円(税込)。
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