政府が2023年度から5年間で防衛費を43兆円に増額し、増税などで賄うことについて、藤沢市内に暮らす若者2人が「NO」を突き付けた。いずれも西俣野在住の北村謙典さん(21)と古屋種人(同)さん。16日、市議会に方針撤回を求める意見書を政府に提出してほしいと請願を出した。同日の総務常任委員会では不採択となったものの、2人は「今回のことを多くの人に知ってもらい、若者が政治に対して声をあげるきっかけになれば」と話している。
2人は友人で、ともに六会中学校の卒業生。現在北村さんは大学を休学中で、古屋さんは市内飲食店で勤務している。
「元々政治に興味があったわけではなかった」と話す北村さん。新型コロナ禍で大学が休学やリモート形式になり、自宅でニュースに触れる時間が増えた。
問題だらけのマイナンバー制度。国民の声を代弁しているとは思えない国会での議論。政治を知れば知るほど、有権者が置き去りになっている気がしてならなかった。
一方の古屋さん。「がんばって仕事をしても手元に残るのはわずか。まるで税金のために働いているよう」と将来に不安を感じていた。
古屋さんの父が交流があった市議会議員を通じ、議員の紹介で請願を提出できる権利があると知ったのが5月末のこと。「自分たちで声をあげることができる。やってみるか」。期限まで1週間を切っていたが、市議のアドバイスを受けて新聞やインターネットで情報収集したり、知人や友人の声を集めて請願文を作り上げた。
2人は請願文で政府が復興特別所得税の半分を防衛費に転用することに「目的すらも変更するにもかかわらず、国民に納得のいく説明が果たされていない」と問題提起。長引く景気低迷や物価高による実質賃金がマイナスになっていることを念頭に「今の生活ですら苦しいのに将来も税金で苦しめられるんじゃないかと不安」と訴えた。
請願は同日の市議会常任委員会で賛成反対が同数となり、委員長採決で不採択となった。また奇しくもこの日、防衛費増額に向けた財源確保法が参議院本会議で賛成多数で可決され、成立した。
結果は残念だったが、今回で何かが変わると思ったわけでもない。「増税を将来支えるのも、もし戦争になってかり出されるのも若者世代。同世代に少しでも政治に関心を持ってもらい、声をあげていいんだと伝えたい」
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