円覚寺(鎌倉市山ノ内)の国宝「洪鐘(おおがね)」に由来し、60年に一度開催される「洪鐘弁天大祭」に向け、11日、同寺と江島神社による合同祭礼が執り行われた。前回の1965年は同時単独開催だったため、実施は120年ぶり。厳かな雰囲気のなか、神道と仏教が融合した貴重な儀式がお披露目され、訪れていた人らが息をのんで見守った。
この日は石造蛇型の弁財天像を神輿に乗せ、同寺境内を行列。仏殿では、江島神社による神式祭儀と、円覚寺による仏式法要が執り行われた。
洪鐘祭の起源は、約720年前にさかのぼる。鎌倉幕府9代執権の北条貞時が、円覚寺にある国宝「洪鐘」の鋳造に成功したことを祝い、同寺と江島神社が合同で神事と仏事を実施。儀式に合わせ、山ノ内の村人が洪鐘弁財天を奉戴し、行列行事(パレード)を行ったことに端を発する。
貞時は、高さ約260cmの洪鐘を鋳造するまでに2度の失敗を経験。江の島に参籠し、江島弁財天の功徳をもらい、3回目で成功したと伝えられている。この神助に感謝した貞時が、江島神社の弁財天像を洪鐘のそばに祀ったことが洪鐘祭の始まりと言われている。
60年に1度開催される洪鐘祭は、近年延期が続き、1901年と65年に開催記録が残る。今回は2020年の実施を予定していたが、新型コロナの影響で、3年越しの実施となる。
「唐人囃子」お披露目
10月29日に予定されるパレードでは、江の島に伝わる「唐人囃子」も披露される。県指定重要文化財に指定される「江の島囃子」の一つで、明治時代までは異国の風情がある華やかな衣装で参加していたという。
今回、同神社では洪鐘弁天大祭への参加に合わせ、当時の衣装を再現した浴衣を用意。江の島囃子連合会のメンバーらが身にまとい、チャルメラやドラなど、囃子では珍しい楽器を奏でながら行進に臨む。
同神社の相原圀彦宮司は「120年ぶりとなるため手探りの状態だが、60年後につなげたい」と話した。
パレードは午前9時30分〜午後0時30分。同神社関係者約80人は11時頃から小袋谷交差点〜円覚寺(約750m)までを練り歩く。
|
|
<PR>
藤沢版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>