昨年度、藤沢市などに寄せられた児童虐待相談受付件数が、計1186件で過去最多になったことがタウンニュース社の取材で分かった。前年度からは105件(約9・7%)増。内訳は「心理的虐待」が745件で6年連続で最多となった。県や市は通告や相談窓口のさらなる浸透を図り、児童虐待を防止していく考えだ。
昨年度、県中央児童相談所(藤沢市分)の虐待相談件数は1072件。21年度の959件から113件(約11・8%)増加した。また市子ども家庭課の件数は241件で前年の179件から62件(約34・7%)増加した。
児童虐待を「心理的」「身体的」「ネグレクト(育児放棄)」「性的」の4つに分類したうち、相談の最も多かったのは「心理的虐待」の745件。県中央児相で681件、同課が124件受け付けた。
身体的虐待の相談件数は229件で前年の210件から19件の増加。ネグレクトは208件で前年の160件から48件増加した。一方、性的虐待は4件で前年の5件から微減だった。
件数増の背景は
市や県は現在、来庁や電話のほか「児童相談所対応ダイヤル『189』」や、コミュニケーションアプリ「LINE」を活用した「かながわ子ども家庭110番相談LINE」で相談・通告に対応している。相談件数の増加について同課の担当者は「相談経路の浸透や報道によって市民の意識が高まっているのではないか」との見方を示す。
相談の最も多い心理的虐待は「面前DⅤ」と呼ばれる、子どもに向けた暴言や子どもの目の前での夫婦げんかも含まれる。担当者は「心理的虐待は学校などで大人に接する子どもが過剰にびくびくする様子や、家の中から響く怒鳴り声と泣き声で分かる場合がある」と説明する。
性的虐待どう把握
子ども家庭課では通告後48時間以内に訪問するなど対策を続けるほか、来年4月から各自治体に努力義務化された「こども家庭センター」の設置に向け市健康づくり課と協力し、母子保健機能と児童福祉機能を連携させ、サポートプランの作成などで子どもや妊産婦を支援していく考え。
児童虐待の対応を巡っては、実態の把握が不可欠だ。心理的や身体的虐待は比較的周囲から変化に気付かれやすいが、性的虐待は当事者からの声が上がりにくい。市などは相談件数は実態の一部と捉えており、今後の対応を課題に据えている。担当者は「虐待を察知するには第三者の見守りが欠かせない」と述べ、「日常で少しでも気になることがあればすぐに相談してほしい」と話した。
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