藤沢市は市営火葬場「藤沢聖苑」の混雑を解消するため12月から来年3月まで、1日あたりの火葬件数を増やし、これまで休場としてきた「友引」の一部で開場する。高齢化に伴う死者数増加による「火葬待ち」が社会問題となっており、今年1月に2週間程度の火葬待ちが発生したことや、将来の死亡者数増加が見込まれることから運用を見直す。
埋葬や火葬は、法律で死後24時間後でなければ行ってはならないと定められている。火葬を予約するには死亡届を市役所に提出し死体火葬・埋葬許可証の発行を受ける必要があり、死亡日から火葬までは5日程度かかることが多い。
市内唯一の火葬場である藤沢聖苑は現在、8基の炉で1日あたり18件の火葬を行っているが、担当の市福祉総務課によると、今年1月には最長で2週間程度の火葬待ちが発生した。
3月以降、火葬待ちは解消され通常通りになっているが、同聖苑の火葬件数の推移をみると、2020年度は4211件、21年度は4563件、22年度は5千件と増加の一途をたどっており、同課では「今後も死亡者数増加は避けられない状況」と予測している。例年11月から3月は、死者数が増加する傾向もあるという。
そこで同課では、火葬件数と開場日を増加するため、関連費用807万円を盛り込んだ補正予算案を市議会9月定例会に提出し、可決された。
これにより、12月から来年3月末まで、1日に行う火葬件数を21件に増やし、業務時間を1時間30分延長する。
「故人が親しい友を連れていく」という慣習から、従来は休業日であった「友引」についても、12月から来年3月末までの21日のうち、計6日を開場する。同課では「運用の見直しだけでは受け入れに限界がある。来年度以降の炉の増設や再整備も視野に入れている」と話す。
葬祭業者ら安堵
同聖苑の体制強化について、市内の葬祭業者で組織する藤沢市葬祭業組合の和田篤泰組合長は、「時には10日以上も火葬を待つ状況があった。以前から対策を要望していたので、とてもありがたい」と安堵の表情を浮かべる。
長期の火葬待ちを避けるため、市内在住の人が横浜や茅ヶ崎など近隣他市の公営火葬場を利用することもあるが、市外からの利用は費用が高くなることが多い。湘南台にある家族葬専用斎場では「自宅に遺体を安置する場合、火葬待ちが長引くと状態の変化などで不安を持つ人もいる。ご遺族の負担を軽減するためにも、火葬体制の強化は今後さらに必要になるのでは」と指摘した。
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