家族や親族の日常的な介護を行う「ケアラー」の支援条例制定を目指している藤沢市議会が10日、市役所でシンポジウムを開催した。条例制定の意義や、ケアラーが求めている支援などについて話し合った。
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高齢者や障害者の家族を介護するケアラーの支援を巡っては、2020年に埼玉県が全国初のケアラー支援条例を制定。以来、全国的に条例制定の動きが広がっている。
同市議会では、議員提案条例での制定を目指し、昨年9月に全会派が参加して政策検討会議を設置。内容について検討を重ねてきた。
シンポジウムは、関係者の声を反映させるために企画され、この日は会場に約70人が集まった。
基調講演では、関東学院大学の青木由美恵教授が「ケアの範囲は高齢者介護や障害者支援だけでなく、子育てなど広範にわたる。親と子どものダブルケアなども起きている」とし、「日本では家族がケアを担い、自分らしい生活を我慢して続けている人が多い」と課題を指摘した。
近年社会問題となっている18歳未満で家族の支援をしている「ヤングケアラー」については、16年の藤沢市立小中学校教員への調査結果から「教員の2人に1人が家族のケアをしている児童に関わったと回答しており、悩みを相談できていない児童もいる」と警鐘を鳴らした。
その後のパネルディスカッションでは、在宅介護者会や肢体不自由児者父母の会、元ヤングケアラー、市議会議員が参加して現状の課題について意見交換。「ケアラーが孤立してしまう事も多い。相談できる場所や、心を開ける人を作ることがとても大切」「趣味や生きがいなどの時間に罪悪感を持ってしまい我慢してしまう人も多いが、それではいけないと思う」などの声があがった。パネリストとして参加した竹村雅夫市議は「介護を受ける人や障害者本人を支援する制度はあるが、現在はケアラーを支援する制度が無い。条例があることで、バックアップの法的な裏付けになり、予算を確保するなどメリットがある」と制定の意義を話した。
同市議会では今後、条例文作成や市民へのパブリックコメントなどを行い、条例の制定に向けて取り組んでいくとしている。
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