藤沢にゆかりのある彫刻家、熊坂兌子(なおこ)さん(91)と彫刻家の故サール・シュワルツさん(1912〜2004)の作品展が、4月27日(土)からJR辻堂駅北口の藤沢市アートスペース(辻堂神台2の2の2)で開催される。昨年、市へ寄贈された立体と平面作品を中心に30点以上を紹介。イタリア語で人生や命を意味する「la vita(ラ ヴィタ)」をテーマに、夫妻でもある両作家の足跡を伝える。
熊坂兌子 サール・シュワルツ作品展
「市民会館や公園で2人の作品を目にした人は多いのでは」と同施設学芸員の鎌田さつきさん。夫妻はパブリックアートも手掛けてきた。奥田公園前広場にある白い大理石の「核兵器廃絶平和祈念像」(平和の母子像)は、戦後50年の節目に熊坂さんが制作したものだ。江の島や大庭城址公園などでも熊坂さんの彫刻を見ることができる。長久保公園にはシュワルツさんの高さ約5mに及ぶステンレス製の作品が建っている。
展覧会では、大理石やブロンズ、アルミニウムほかさまざまな素材を用いた立体造形、シルクスクリーンやエッチングの版画などを展示。同公園に設置されているシュワルツさんのモニュメントの模型も並ぶ。金属パーツを溶接して曲線を描き、全体の構想を練り上げていった制作過程がうかがえるという。
藤沢で育った熊坂さん。東京藝大を卒業し、母校の藤沢高等女学校(後の県立藤沢高校)で美術教師として働いた。1970年に単身ニューヨークへ渡り、現代彫刻で知られる美術館「スカルプチャー・センター」の一員に。コロンビア大学などで彫刻を指導していたシュワルツさんと出会い、78年に結婚した。
彫りたいと思える石を求め、採石場があるイタリアにアトリエを構えた。夫が他界するまでイタリアと日本を行き来しながらともに創作に励んだという。
鎌田さんは「熊坂さんが作品に込めた平和への願いや米国で学んだ版画の技法などにも注目を。作風は異なる2人が互いに敬意を示し、自由な発想と探求心で創作を続けた人生にぜひ触れて」と話す。6月2日(日)まで。
トークイベントも
初日と5月25日(土)の午後2時から学芸員による展示解説がある。申し込み不要。5月12日(日)には熊坂さんと茅ヶ崎市美術館の小川稔館長がトークセッションを行う。午後1時から2時30分。定員30人で要事前申し込み。
観覧無料。開館午前10時から午後7時。月曜日休館(4月29日と5月6日は開館し、それぞれ翌日の火曜日が休館)。
問い合わせは市アートスペース【電話】0466・30・1816。
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