湘南台の四ツ辻団地自治会(柏崎裕紀会長)が4月から会員の共働き世帯を対象に、コミュニティーハウスで子どもを一時的に預かる取り組みを始めた。小学校に登校するまでの朝1時間ほど、有志が交代で見守り役を担う。保育園の預かり時間と小学校の登校時間との数十分のギャップを自治会が支える仕組みで、全国的にも珍しい。関係者らは「新たなモデルとして地域に定着させたい」と意気込んでいる。
「おはようございます」。27日午前7時過ぎ、自治会のコミュニティーハウス「重田ハウス」の玄関先に元気な声が響くと「キッズ四ツ辻」のボランティアスタッフ、鎗田富栄さん(75)が笑顔で女子児童を迎え入れた。
スタッフは17人。月ごとにシフトを組み、午前7時から8時ごろまで2人体制で見守りに当たり、登校時間が近づくと、スタッフ1人が学校近くまで見送る。
預かり対象は小学1〜3年生で、利用料は月2千円。平日は毎日利用でき、1日換算で1回100円で済む計算だ。30代の母親は「経済的な負担も少なく、本当に助かっている」と打ち明ける。
ハードル乗り越え
活動の発端は、共働きの自治会役員が漏らした悩みから。「来年から娘が小学校にあがるが、通勤が登校時間より早い。どうしたら」
保育園の預かり時間開始は朝7時30分。それに対し、小学校の登校開始時間は8時15分で45分遅い。夫婦とも市外に通勤しており時間を遅らせることが難しく、幼い娘を家に一人で待たせておくにもいかない。事情を知った別の役員から「重田ハウスで預かってはどうか」と提案があり、プロジェクトが始まった。
ただ、実現に向けては「誰がいつ見守るのか」「学校や行政との調整はどうするか」など、いくつも課題を解消する必要があった。そこで行政との折衝経験がある堀澄子さん(75)が調整役を担い、同ハウス運営委員の石井幹夫さん(65)が中心となって規約をまとめた。当初はスタッフの数も足りなかったが、回覧板で参加を呼び掛けたほか、個別に協力も依頼。鎗田さんは「堀さんの熱意に負けた。今はひ孫を見守るような気持ちで当番を楽しみにしている」と笑顔で話す。
モデル広げたい
活動にあたっては市社会福祉協議会の補助金も得た。新年度直前に呼び掛けたこともあり、利用者は現状1世帯だが、今後は他自治会からの受け入れも検討するという。
現在中学校で非常勤講師を務める石井さんは「本来は行政が予算措置を講じて仕組みを作ることが望ましい。一方、朝の預け先がないのは社会課題でもある。若い世帯が自治会に対して関心を向けてもらうきっかけにもなれば」と期待した。
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