次世代の太陽電池として注目を集める「ペロブスカイト」の実証実験が7月29日から、江の島サムエル・コッキング苑で始まった。県と総合エンジニアリング会社「日揮」(横浜市西区)、太陽電池メーカー「エネコートテクノロジーズ」(京都府)の3者が昨年12月に締結した「脱炭素化促進のためのペロブスカイト太陽電池の普及に関する連携協定」に基づいた取り組みの一環。今後1年間、照度・温度の特性、耐久性などのデータを評価分析しながら、早期実用化に向けて検証していく。
ペロブスカイト太陽電池は薄型で軽量、柔軟に曲げられる特性を持ち、従来のシリコン型では設置が難しかった建物の壁面や曲面、屋根などへの取り付けを可能にした。
実証実験では縦36cm、横46・5cm、厚さ1mm、重量200g以下の太陽電池を搭載した遮熱シートをガラス屋根の同苑温室遺構展示体験棟内に6枚設置した。これで毎秒約70Wの出力を確保でき、電力を小型扇風機と江の島シーキャンドル(タワー)模型のイルミネーションに使用。観光客などに広く周知することで、新たな技術の普及を図りたい考えだ。
同日に開かれた実証開始式には、黒岩祐治県知事、鈴木恒夫藤沢市長、日揮の山口康春代表取締役社長執行役員、エネコートテクノロジーズの 加藤尚哉代表取締役らが出席。簡易で安価に設置できる日揮の「シート工法」によるペロブスカイト太陽電池の取り付けデモンストレーションやイルミネーションの点灯式などが行われた。黒岩知事は「”どこでも発電”できる技術で、県が掲げる2050年脱炭素社会の実現の鍵を握る。多くの人に知ってほしい」と期待感をにじませた。
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