人間の都合で外国から持ち込まれ、野に放たれて繁殖を続ける外来生物たち。藤沢市内でも関係機関に被害相談が多数寄せられている。市環境保全課では、それらを中心とした野生鳥獣の相談件数が昨年度、過去最多となった。生態系や市民生活、農林水産業への悪影響が懸念されており、市は「発見したらすぐに相談を」と呼び掛けている。
可愛らしい見た目のアライグマやタイワンリス、ハクビシンといった野生動物――。これらは元来、日本に生息していなかった外来生物だ。藤沢市内では、生活被害や農業被害などの相談が相次いでいる。
野生鳥獣対策を行う市環境保全課に寄せられる生活被害などにまつわる相談件数は、直近5年間で約1・7倍増え、2023年度には1156件で過去最多となった。そのうち、アライグマ・タイワンリス・ハクビシンは約半数を占める。
同課によると、特に外来生物が民家の屋根裏へ侵入するほか、糞害や巣を作ってしまうケースが多いという。
被害の実例として、住民が寝静まった後に夜行性の外来生物が走り回る音や幼体の泣き声などの騒音被害が挙げられる。また、尿が天井から染み出したり、縄張りを示すために一カ所に糞を集めたりすることによる悪臭も問題になっている。
そのほか、繁殖期になると狂暴化し、昼間に人間に襲い掛かることもあるという。同課は「アライグマなどは力が強く、爪も鋭利なので、襲われると危険。捕獲用のネットも破られてしまう」と説明する。
さらに近年では、主に市南部地域でタイワンリスの相談件数も次第に増えつつあり、庭木の果樹を食べられてしまうなどの相談が多いという。
相談件数の増加要因として、市民の意識の高まりや繁殖が止まらないことなどが考えられる。同課では対策の一環として、捕獲檻の貸し出しや専門業者を紹介。市ホームページには自衛策も記載されているが、「被害に遭われた方は、ぜひご相談いただければ」としている。
タニシで農業被害も
外来生物による農業被害では、稲を食い荒らすジャンボタニシの被害も問題となっている。JAさがみ(西山國正組合長)によると、市内有数の水田地帯である「城・稲荷地区」でも、ジャンボタニシの脅威にさらされているという。
地元高校生らと6月に駆除した際には、50リットルの袋で5袋分が捕獲された。同組合は「他市では地域ぐるみでの対策により根絶まで至った例もある。今後も対策を続けていく」としている。
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