藤沢市消防団第5分団(本鵠沼地区)の副分団長を務める加藤章吾さん(59)が今夏、厚木市の県総合防災センターで行われた第55回県消防操法大会小型ポンプ操法の部で、最優秀選手賞(3番員)を受賞した。市消防団では初の快挙。
地域防災の要として、まちの安全・安心を支える消防団員が、日頃の訓練で磨き上げた消火技術を競い合う同大会。小型ポンプ操法の部は、4人1組で消防ホースの延長や接続、筒先の結合を実施後、放水によって標的を倒す。所要時間や迅速な行動、確実な動作、チームワークなどが審査され、順位が決まる。
第5分団は、昨年7月に開かれた市大会で市内31分団の頂点に立ち、県大会への切符を手にした。加藤さんが担当したのは、消防団所有の動力消防ポンプを操作する3番員。緻密な操作技術と冷静な判断が求められる重要な役割だ。迎えた本番は、ほぼノーミスで、最高の演技を披露した。
中年の星
地元の町内会から誘われ、33歳で消防団に入団した加藤さん。建設会社で働く傍ら、サイレンが鳴ればすぐに火災現場に駆け付けて放水活動するほか、東日本大震災が発生した際には「無線も携帯電話もつながらなかった」という状況のもと、海岸近くで率先して避難誘導するなど、自らの危険を顧みず市民の命を守り続けてきた。
その勇敢な背中は、他の団員たちを鼓舞する。年齢差40歳の澤地秋摩さん(19)は、救急救命士を目指して活動する大学2年生。県大会に向けて市消防防災訓練センター(石川)で週2〜3回の過酷な練習をともにこなした間柄だ。「時には喝を入れてくれ、時には褒めてもくれる。父親のような信頼できる存在」と尊敬のまなざしを送る。
若手選手の参加が多いなかで、県大会には今年で4度目の出場を果たしたベテランの加藤さん。「緊張の後にくる達成感がたまらない」といまだ現役選手として活動する理由を述べ、「団員たちには厳しいことを言ったかもしれないが、どうせやるなら勝ちにいきたい。私についてきてくれた皆あってこそ獲得できた最優秀賞。ありがたい」と謙虚に語った。
なお、団体では19団中6位の優良賞に入った。
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