スポーツの秋は、若者だけのものではない。叱咤し合う声と打球音が響く市内北部の葛原野球場。ユニフォームをまとい、ボールを追いかけて疾走するのは全員60代以上の「湘南ドリームズ」の選手たち。彼らにとって「還暦は若手」だ。
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湘南ドリームズは、藤沢を中心に活動するシニア野球チーム。現在80代までの43人が所属する。近年に刷新したホームページから部員を随時募集しており、加入数は増加傾向にあるという。「還暦リーグ」のほか、70歳以上の「古希リーグ」、75歳以上の「グランド古希リーグ」の選手が加入している。古希リーグは、今年度行われた神奈川県還暦野球連盟が主催する古希2部で、全勝優勝を果たした。
若者顔負けの熱気で練習に精を出す日々。「声を出し合うことが大事」と語るのは、還暦リーグ監督の渡辺晃さん(70)。高校で野球部の監督を約40年務めた。毎日練習ができないことなど学生への指導と比べ難しい点もある中、「選手層が厚くなってきた。年代に関わらず和気あいあいと上位を狙っていきたい」と力を込める。
異なる世代同士の仲が良いことも、チームの特長の一つ。代表を務める石橋正行さん(79)は、「楽しい野球をすること」を掲げる。「この歳になると体のあちこちが悪くなる。いたわり合いながら練習している」。古希リーグ監督の宮城義彰さん(74)も「一人のスターがいるより、チームワークが良い方が勝てる」と強調。体の衰えも感じるが、「自分たちが若い頃に見ていた高齢者よりは明らかに動けている」とうれしさをにじませる。
チーム最高齢は、セカンドを守る宮島宏行さん(84)だ。戦後、グローブが貴重だった少年期から野球をしていたという宮島さん。「ずっと動いている種目ではなく、息継ぎができることが野球の魅力」とし、「この歳になるまでできることに感謝している」と明るく語った。
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