今月1日、(社)日本観光振興協会(西田厚聰会長)と(社)鎌倉市観光協会(井手太一会長)の共催で、観光振興を話し合う「ツーリズムセミナーIN鎌倉」が鎌倉生涯学習センターで行われた。同セミナーは観光産業に携わる人材の資質向上を目的に、日本観光振興協会が6年前より東京で実施しているもの。今年から全国展開を予定しており、第1回目として鎌倉が選ばれた。
当日は会場に市内の観光業関係者約100人が集まった。講師には1995年に世界文化遺産に登録された「白川郷」が位置する岐阜県白川村の前村長、谷口尚氏と、株式会社ジェイティービー常務取締役の野口英明氏の2人が招かれた。
谷口氏は、白川郷が世界文化遺産に選ばれた経緯を説明。当初は「観光客は本当に増えるのか」「商売している一部の人だけが得をするのでは」といった懸念があり、一部の地域住民からは反対を受けていたという。そんな中、同村は広報活動に力を入れ、観光客が増加。それに準じて旅館や食堂など地域住民の就労の場も増えていった。谷口氏は「白川郷は文化財と経済が結びついている良い例」とするも「世界遺産の第一の目的は遺産の保存。多くの人が訪れる中で保護していくためにも、今後は住民による文化の継承に努めるべき」とまとめた。
一方、野口氏は、これまでの旅行業の経験を基に観光地としての鎌倉の課題を指摘。弱点の一つとして夜の時間を挙げた。「鎌倉には夜に入れる店が近隣市に比べて少ない。宿泊施設も限られており、修学旅行生などは鎌倉を通過して横浜や箱根に宿泊する」とし「一日を通して楽しめる地に変わることで、経済効果も違ってくるのでは」と話した。
日本観光振興協会は観光立国の実現などを目的に、(社)日本観光協会と(社)日本ツーリズム産業団体連合会が2011年に合体した団体。同セミナー担当の田辺正幸さんは「登録が実現したら、鎌倉は首都圏から最も近い世界遺産になる。今後の日本観光の要になる重要な地なので、第1回目の開催地に決めた」と話す。
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