大町在住浅野さん 富士山頂からテイクオフ 最年少飛行記録を樹立
市内大町在住の浅野暢来(いたる)さん(横浜高校3年)が8月16日、高さ約3千mの富士山頂からパラグライダーによる飛行に成功した。18歳での富士山頂からのフライトは、現在確認されている史上最年少記録だ。
午前6時17分、朝霧アリーナ(静岡県富士宮市)に機上の浅野さんから無線が入る。「テイクオフして今飛行中」―。富士山の南東の空を旋回して降下。約30分間の飛行を終え、アリーナに降り立つと両腕を突き上げ喜んだ。「富士山を除いて自分の上に何もない。あんな光景初めて」と興奮冷めやらぬ様子で話す。
浅野さんは15日夜、頂上に向け重さ20kgほどの装備品を担いで富士宮口新五合目を出発。「頂上は寒くて酸素が薄い。飛行後は地獄から脱出した気分だった」と感想をもらす。高度約3千mから時速40Kmで滑空した世界は「全くの無音。椅子に座っている感じ」。静かな空にぽっかり浮かび、360度広がるパノラマを独占したという。
山頂の天候や風速など、飛行条件は年10日ほどしか揃わない。浅野さんは今年7月から、3度試みるも天候に恵まれず断念。この日は風速2m/sの向かい風というベストコンディションで4度目の挑戦が実った。
目指すは七大陸の頂
高1の11月、パラグライダーと登山を合わせたレース「X―Alps(エックスアルプス)」をテレビで見たことが競技を始めるきっかけ。「自然を知り尽くしたスペシャリストばかり。自分も出たいと思った」と振り返る。
通ったスクールでは受講料を安くしてもらう代わりに掃除や手伝いをし、自転車で片道40Kmの道のりを通った。今も自転車は毎日のトレーニングの「良き相棒」だ。夏休みは週4日の飛行練習で技術を磨いている。「風の力だけで進むところに魅かれる。気流を読んで飛ぶのが面白い。鳥になった感覚」とその魅力を語る。
現在はX―Alpsでの優勝が一番の目標。更に「日本最高峰から飛んだので、次は七大陸制覇したい」と意気込む。目指すは世界の頂。9月には下見のためのモンブラン登頂を予定している。
![]() ダイヤモンド富士を臨む(本人提供)
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