7月から鎌倉税務署長に就任した 小山 賢一さん 東京都大田区在住 54歳
襟を正し先頭に立つ
○…目指すのは信頼される税務行政の確立だ。「日頃の仕事一つひとつにしっかり取り組むこと。言葉にするとシンプルですけど、例えば事務作業一つにしても確実に実践していくのは難しいものです」と話す。そのためは自らが署員の先頭に立ち率先垂範を心がけていく。「まずは自分からですね」と襟を正す。
○…高校2年の時、脱税事件の報道をテレビで見たことが税務行政の世界に進むきっかけに。「『こういう仕事があるんだ』と知って。自分の正義感を生かせると思いました」。18歳で国税局に入局。キャリアの多くで悪質な巨額脱税者を告発する「査察」の仕事に従事してきた。「『マルサ』と聞けば映画で知っている人も多いかもしれません。巨悪を眠らせないという思いを胸に勤めてきました」。一見派手な仕事にも見えるが、地道な情報収集や証拠集めなどの積み重ねが大部分を占める。社会悪と闘う気概が必要な職場だという。
○…20年前に子どもの保護者仲間で始めたというテニスは今でも趣味の一つ。「ただラリーを楽しむだけで『羽子板』みたいなものですけど」と笑う。気分転換をしたい時には街を散策することも。「先日は出勤前に八幡宮の方を散歩して。小一時間で汗だくになっちゃいました」。仕事柄勤務地を転々とするが、鎌倉は30年前にもプライベートで訪れ大仏や北鎌倉を歩いた思い出の地だという。
○…7月には東京地方税理士会や鎌倉市と協力して、小中学校の教員向けに租税教室を初開催。税を考える週間では啓発イベントを行うなど、身近な存在である税を肌で感じてもらえるように努めている。「税を納めているという意識を常に持っていてもらいたい。反面、我々は正確にしっかりと仕事をしなければならないと思います。税務署という船を動かすために、乗組員一同が力を合わせていくことが大切」。納税者のため―。言葉の端々に強い気持ちを感じさせた。