鎌倉 コラム鎌倉のとっておき
公開日:2016.03.11
鎌倉のとっておき〈第12回〉
光則寺の海棠(カイドウ)
国宝の大仏が鎮座する高徳院と木造十一面観音や紫陽花の名所として有名な長谷寺の間、というよりは、長谷寺のすぐ近くに、花の寺として評判高い光則寺がある。
境内入り口には、草木の名前が300以上手書きされた地図が置かれているが、その中で本堂前の海棠(カイドウ)は、鎌倉市の天然記念物、神奈川県の名木百選、さらには神奈川花の名所百選に指定されている樹齢200年の名木である。
鎌倉市の天然記念物は、現在32件が指定されているが、その半分はマキやビャクシンさらにはイチョウなど樹齢を重ねた大木である。また花を観賞できるものとしては、英勝寺と覚園寺の椿、瑞泉寺のオウバイ、安国論寺のサザンカや浄智寺のタヒチガン、鶴岡八幡宮のシロシダレ等があるが、椿を除き花の色は白か黄色それに薄いピンクで、地味で落ち着いた花が多い。
それらに比べ光則寺の海棠は、桜と同じ頃の3月終わりから4月初めにかけて、4メートル位上から枝垂れ流れる枝いっぱいに、赤味がかったピンク色の花を、艶やかに咲かせてくれる。
以前は、光則寺と安国論寺、妙本寺の海棠が、鎌倉三大海棠と呼ばれていたが、安国論寺では、数年前に枯れていることが確認され、妙本寺の海棠も、昔の面影はなくなってしまった。生き物である以上、寿命があるのはやむをえないが、ここ光則寺の海棠だけは、末永く咲き続けてくれることを祈っている。
原田隆
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